増殖因子シグナル伝達経路レギュレーション状態を評価するための方法及び遺伝子発現サイン
专利摘要:
細胞サンプルまたは被験者中の増殖因子経路シグナル伝達のレギュレーション状態を評価するための方法、バイオマーカー及び発現サインが開示されている。より具体的には、本発明の幾つかの態様は、サンプル中の増殖因子経路デレギュレーション状態を評価するために;細胞サンプルをデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類するために;物質がサンプル中の増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートするかを調べるために;被験者の増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質に対する応答を予測するために;被験者に対して治療を割り当てるためにに;及び増殖因子経路シグナル伝達をレギュレートするように設計された癌治療の薬力学的効果を予測し、評価するためにバイオマーカー及び遺伝子サインとして使用され得る遺伝子の集合を提供する。 公开号:JP2011515088A 申请号:JP2011500943 申请日:2009-03-19 公开日:2011-05-19 发明作者:ネボジン,マイケル;ロボダ,アンドレイ;ワツターズ,ジエームズ 申请人:メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション; IPC主号:C12Q1-68
专利说明:
[0001] 本明細書は、全文参照により本明細書に組み入れる配列表を含む。] 背景技術 [0002] 治療に最も応答しそうな患者部分集団を同定することは現代分子医学の主要な目的である。この概念は、承認されている及び実験的治療が多数あるために(Rothenbergら,2003,Nat.Rev.Cancer,3:303−309)、多くの現在の治療に対する応答率が低いために、第1治療サイクルにおいて最適治療を使用することが臨床上重要であるために(Dracopoli,2005,Curr.Mol.Med.,5:103−110)癌にとって特に重要である。加えて、現在市販されている細胞傷害剤は狭い治療指数及び重大な毒性プロファイルが伴っている結果、正確に応答を予測することが緊急に必要とされている。最近の研究により細胞傷害性化学療法に対する応答に関連する遺伝子発現サインが同定されたが(Folgueriaら,2005,Clin.Cancer Res.,11:7434−7443;Ayersら,2004,22:2284−2293;Changら,2003,Lancet,362:362−369;Rouzierら,2005,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,102:8315−8320)、これらの例(及び文献からの他の遺伝子発現サイン)は未確認のままであり、まだ臨床実地に対して大きな効果を有していない。標準の技術的プラットフォームがなく、臨床サンプルの採取を取り巻く困難のような技術的問題に加えて、細胞傷害性化学療法により影響される無数の細胞プロセスがこれらの物質に対する応答の実際的でロバストな遺伝子発現予測子の同定を妨害する恐れがある。1つの例外は、微小管結合タンパク質TauのmRNA発現が低いとパクリタキセルに対する向上した応答が予測されるというマイクロアレイによる最近の所見である(上記のRouzierら)。] [0003] 細胞傷害性化学療法に対する限界を改良するために、腫瘍学における薬物設計に対する現在のアプローチは腫瘍増殖及び生存のために重要な特殊な細胞シグナル伝達経路をモジュレートすることを目指している(Hahn and Weinberg,2002,Nat.Rev.Cancer,2:331−341;Hanahan and Weinberg,2000,Cell,100:57−70;Troskoら,2004,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1028:192−201)。癌細胞において、これらの経路はデレギュレートされるようになり、その結果異常なシグナル伝達、アポトーシスの抑制、より多い転移及びより多い細胞増殖が生ずる(Adjei and Hildalgo,2005,J.Clin.Oncol.,23:5386−5403において精査されている)。正常細胞は制御された成長及び増殖のために複数のシグナル伝達経路を統合しているが、腫瘍は1つまたは2つの経路の活性化に頼り切っているようである(“癌遺伝子活性化”)。慢性骨髄性白血病のBCR−ABLに対する公知の依存に加えて、上皮増殖因子受容体及びMYC経路の研究から1つの重要な癌遺伝子の不活化が細胞死または正常表現型を有する細胞への分化が誘導され得ることが判明した(Lynchら,2004,N.Engl.J.Med.,350:2129−2139;Paezら,2004,Science,304:1497−1500;Weinstein,2002,Science,297:63−64;Jainら,2002,Science,297:102−104;Gorreら,2001,Science,293:876−880;Drukerら,2001,N.Engl.J.Med.,344:1031−1037)。異常なシグナル伝達経路の成分は新しい抗癌治療に対する魅力的で選択的な標的に相当する。加えて、標的治療に対する応答者の同定は、特定の経路により“推進される”腫瘍を有している患者は前記経路の成分を標的とする治療に応答することが論理的と思われるので、細胞傷害剤についての同定よりもより達成され得るであろう。従って、我々はいずれの経路がいずれの腫瘍において活性であるかを同定するための方法を開発し、この情報を用いて治療決定を導くことが極めて重大である。これを可能にする1つの方法は経路活性化状態を示す遺伝子発現プロファイルを同定することである。] [0004] 腫瘍中の経路活性化を評価するための現在の方法は薬物標的、公知の癌遺伝子または公知の腫瘍サプレッサーの測定を含む。しかしながら、1つの経路は複数のポイントで活性化され得、公知の癌関連遺伝子を評価することにより経路活性化を評価することは常に実行可能でない(Downard,2006,Nature,439:274−275)。この状況を説明するために、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K;図1)を介するシグナル伝達を考えたい。この経路は受容体チロシンキナーゼを介して複数の増殖因子により活性化され、細胞増殖及び生存、転移コンピテンス及び治療耐性を含めた複数のプロセスに影響を与える。PI3Kシグナル伝達はしばしばヒト癌において活性化され、多くの製薬会社が1つ以上の経路成分のインヒビターを開発している(Hennessyら,2005,Nat.Rev.Drug Discov.,4:988−1004)。従って、PI3K経路活性化を正確に決定することはこうした開発中の新規治療薬に対する潜在的応答者を同定するために重要であろう。] 図1 [0005] しかしながら、PI3K経路は複数のポイントで異常により活性化され得、経路活性を評価することは簡単ではない恐れがある(Cullyら,2006,Nat.Rev.Cancer,6:184−192)。例えば、PI3Kそれ自体が癌においてしばしば変異を受けている。PI3K体細胞ミスセンス変異はHER2増幅ホルモン受容体陽性乳癌で一般的であり、PI3K変異/増幅は卵巣癌、胃癌、肺癌、脳腫瘍等で見られる(Bachmanら,2004,Cancer Biol.Ther.,3:772−775;Samuelsら,2004,Science,304:554;Campbellら,2004,Cancer Res.,64:7678−7681;Mizoguchiら,2004,Brain Pathol.,14:372−377;Shayestehら,1999,Nat.Genet.,21:99−102;Woenckhausら,2002,J.Pathol.,198:335−342)。加えて、RASにおける活性化変異は膵臓癌及び肺癌で起こり(Johnson and Heymach,2004,Clin.Cancer Res.,10:4254−4257)、結腸直腸癌における最近の大規模な配列決定プロジェクトによりPDK1中の新規な珍しい変異が最近同定された(Parsonsら,2005,Nature,436:792)。最後に、AKT(活性化、増幅)及びPTEN(変異、欠失、後成的不活性化)も多くのヒト癌においてデレギュレートされている(Altomareら,2003,J.Cell Biochem.,88:470−476;Ruggeriら,1998,Mol.Carcinog.,21:81−86;Chengら,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:3636−3641;Staalら,1987,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:5034−5037;Liら,2005,World J.Gastroenterol.,11:285−288;Liら,1997,Science,275:1943−1947;Goelら,2004,64:3014−3021)。PI3K経路活性化は臨床サンプル中のPTENまたはリン酸化AKTレベルを免疫組織化学的に分析することにより評価され得るが(Slipicevicら,2005,Am.J.Clin.Pathol.,124:528−536)、これは経路活性化を調べるための最適方法ではない場合がある。これらのアッセイには免疫組織化学の技術的限界があり、定量的でない。加えて、発癌経路は複雑であり(例えば、RASシグナル伝達はPI3K活性化の一因となる)、よって重要な経路メディエータが少数の十分に特徴づけられている成分のみを試験するだけでは見逃される恐れがある。こうした手段によりPI3K経路活性化を調べる難しさは、個々の経路成分をばらばらに分析したときに文献に報告されている整合していない結果により反映されている(Saalら,2005,Cancer Res.,65:2554−2559;Panigrahiら,2004,J.Pathol.,204:93−100)。] 先行技術 [0006] Rothenbergら,2003,Nat.Rev.Cancer,3:303−309 Dracopoli,2005,Curr.Mol.Med.,5:103−110 Folgueriaら,2005,Clin.Cancer Res.,11:7434−7443 Ayersら,2004,22:2284−2293 Changら,2003,Lancet,362:362−369 Rouzierら,2005,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,102:8315−8320 Hahn and Weinberg,2002,Nat.Rev.Cancer,2:331−341 Hanahan and Weinberg,2000,Cell,100:57−70 Troskoら,2004,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1028:192−201 Adjei and Hildalgo,2005,J.Clin.Oncol.,23:5386−5403 Lynchら,2004,N.Engl.J.Med.,350:2129−2139 Paezら,2004,Science,304:1497−1500 Weinstein,2002,Science,297:63−64 Jainら,2002,Science,297:102−104 Gorreら,2001,Science,293:876−880 Drukerら,2001,N.Engl.J.Med.,344:1031−1037 Downard,2006,Nature,439:274−275 Hennessyら,2005,Nat.Rev.Drug Discov.,4:988−1004 Cullyら,2006,Nat.Rev.Cancer,6:184−192 Bachmanら,2004,Cancer Biol.Ther.,3:772−775 Samuelsら,2004,Science,304:554 Campbellら,2004,Cancer Res.,64:7678−7681 Mizoguchiら,2004,Brain Pathol.,14:372−377 Shayestehら,1999,Nat.Genet.,21:99−102 Woenckhausら,2002,J.Pathol.,198:335−342 Johnson and Heymach,2004,Clin.Cancer Res.,10:4254−4257 Parsonsら,2005,Nature,436:792 Altomareら,2003,J.Cell Biochem.,88:470−476 Ruggeriら,1998,Mol.Carcinog.,21:81−86 Chengら,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:3636−3641 Staalら,1987,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:5034−5037 Liら,2005,World J.Gastroenterol.,11:285−288 Liら,1997,Science,275:1943−1947;Goelら,2004,64:3014−3021 Goelら,2004,64:3014−3021 Slipicevicら,2005,Am.J.Clin.Pathol.,124:528−536 Saalら,2005,Cancer Res.,65:2554−2559 Panigrahiら,2004,J.Pathol.,204:93−100] [0007] このような例から、遺伝子発現の同じサインが経路の複数の成分の活性化により引き出され得るので、経路活性化の遺伝子発現サインに基づく読出し情報は経路活性の1つの指標に頼るよりもより適正であり得ることが示唆される。加えて、複数の遺伝子からの発現データを統合することにより経路活性を定量的に評価することが可能であり得る。経路活性化状態を評価することにより腫瘍を分類するために遺伝子発現サインを使用することに加えて、経路活性化についての遺伝子発現サインは薬力学的バイオマーカーとして、すなわち治療後患者腫瘍または末梢組織において経路抑制をモニターする際に;応答予測バイオマーカーとして、すなわち特定経路を標的化するインヒビターで患者を治療する前にその経路活性レベルが高い腫瘍を有している患者を先を見越して同定する際に;及び早期有効性バイオマーカーとして、すなわち有効性を早期に読出す際にも使用され得る。] 図面の簡単な説明 [0008] PI3K経路活性化及び遺伝子発現サイン。PI3Kは受容体チロシンキナーゼを介して増殖因子により活性化される。加えて、PI3KはRASにより活性化され得、これにより他のシグナル伝達カスケードとの混線が生じ得る(データ示さず)。活性化されると、PI3Kはホスファチジルイノシトール−4,5−ビスホスフェート(PIP2)をホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリホスフェート(PIP3)にリン酸化し、このプロセスはPTENにより逆転される。PIP3シグナルはキナーゼPDK1を活性化し、後者はキナーゼAKTを活性化する。このシグナル伝達カスケードは複数の細胞プロセスに影響を及ぼし、経路活性の遺伝子発現“サイン”が生ずる。この経路の活性化は多くの癌に関与し、この活性化は複数の経路成分(ダークグレー)の異常により起こり得る。各種の経路成分の活性化により同一の遺伝子発現プロファイルが生じ得るので、経路活性化のサインは多分単一の公知の癌遺伝子または腫瘍サプレッサーの評価よりもより正確な情報を与えるであろう。 サイン遺伝子を発見するための出発ポイントとして使用される細胞株。19個の大腸癌細胞株をAKT1/2インヒビターL−001154547に対する感受性について表現型を分類した。3個のより感受性の細胞株(HCT−8、LoVo、COLO205;太いダークグレーで示す)及び3個のより耐性の細胞株(DLD1、HCT116、HCT15;太いライトグレーで示す)を処理後発現プロファイリングのために選択した。 AKT1/2の抑制に対して感受性の遺伝子の最初の発見。図3A:より感受性な細胞株とより耐性な細胞株間の処理後変化を比較するANOVA計算で差次的に発現されるとして同定された遺伝子のP値が示されている。1,600個の遺伝子がp<0.01で差次的に発現された。図3B:このデータセットでIRS2発現とも相関(r>0.7)していた図3Aから同定された399個の遺伝子のレギュレーションを示す1次元ヒートマップ。発現データはビヒクル処理に対してlog10比で表されている。すべての細胞株が若干程度の細胞死滅を示したので、感受性及び耐性の分類は相対的である。 AKTインヒビター誘導プロファイルの分析中に観察されたフィードバック制御。(A)ERBB3、IRS1、ERBB2、INSR、IRS2、FGFR1及びEGFRはすべてAKT抑制に対して感受性であった細胞株においてAKT1/2のインヒビターに対する応答においてアップレギュレーション(p<0.05)の証拠を示した。発現データはビヒクル治療に対してlog10比で表されている。これらの遺伝子の各々はAKTの上流にあり、各々が増殖因子により活性化されるとPI3K/AKTシグナル伝達を活性化することは公知である。(B)フィードバック制御を観察するための1つの仮説は、AKTを短期間急激に阻害すると通常AKTシグナルを中継する分子を大きく変化させることである。応答して、細胞はAKTを介するシグナル伝達を活性化する上流遺伝子の発現をアップレギュレートする。(C)インビトロ及びインビボでAKTシグナル伝達変化に対して同一方向で応答した遺伝子を同定するために、我々は大腸発現腫瘍アトラスからのデータを再び比率で示して、隣接する正常サンプルに対する各腫瘍毎の遺伝子発現の1つのプロファイルを作り出した。ここで、我々は、インビトロでAKTインヒビターによりダウンレギュレートされたが、隣接正常組織に比して大腸腫瘍でのアップレギュレーションを示した(全データセットで平均で平均log比>0.2)遺伝子を示す。 乳房腫瘍におけるAKTサインスコア。大腸癌細胞株及び大腸腫瘍において同定されたAKTサイン遺伝子を用いて、我々はヒト乳癌データセットにおいてAKTサインスコアを計算した。以下の式を使用した:平均log比(インビトロでAKT抑制によりダウンレギュレートされた遺伝子)−平均log比(インビトロでAKT抑制によりアップレギュレートされた遺伝子)。(A)AKTサインスコアは乳房腫瘍アトラスにおいて乳房腫瘍を正常組織と区別し、乳房腫瘍は正常組織に比して平均でより高いAKT経路活性を示す。加えて、乳房腫瘍ではより大きな範囲のAKTサインスコアが観察される。 AKT及びMYCサインの関係。AKT及びMYCサインスコアは(A)大腸腫瘍(r=0.81)及び(B)乳房腫瘍(r=0.82)アトラスデータセットにおいて高度に相関している。AKTサインスコアは先に記載したように計算した。MYCサインスコアは以下の式を用いて計算した:平均log比(Bildら,2006,Nature,439:353−357のMYC過剰発現によりアップレギュレートされた遺伝子)−平均log比(BildらのMYC過剰発現によりダウンレギュレートされた遺伝子)。(C)BildらのMYCサインはAKT、cMET及びFGFR2の小分子インヒビターにより抑制されるが、タキソールでもKSPでも抑制されない。マゼンタ長方形はBildらのMYC過剰発現によりダウンレギュレートされた遺伝子を表し、シアン長方形はBildらのMYC過剰発現によりアップレギュレートされた遺伝子を表している。AKT、cMETまたはFGFR2が抑制されると、MYC過剰発現により生ずるレギュレーションに比してMYCサイン遺伝子は逆レギュレートされる。実験はヒートマップの左側にリストされている(HCT116:大腸癌細胞、LoVo:大腸癌細胞、GTL−16:胃癌細胞、EBC−I:肺癌細胞、KATOIII:胃癌細胞、SUM52:乳癌細胞)。各実験でプロファイルされた薬物(タキソール)または薬物標的(他のすべて)はヒートマップの右側に沿って示されている。 γ−セクレターゼを阻害するとBildら(2006,Nature,439:353−357)のMYCサインが抑制される。100nMまたは1μM濃度の421Bを用いて3または7日間処理した後T−ALL細胞株をプロファイルした。マゼンタ色の長方形はBildらのMYC過剰発現によりダウンレギュレートされた遺伝子を表し、シアン色の長方形はBildらのMYC過剰発現によりアップレギュレートされた遺伝子を表している。γ−セクレターゼを阻害すると、Loucy細胞を除いてMYC過剰発現により生ずるレギュレーションに比してMYCサイン遺伝子の逆レギュレーションが生ずる。下図は、Loucy細胞はMYCを発現しないことを立証している細胞株アトラスからのデータを示す(ベースラインでのMYCレベルは棒球で示す検出閾値以下である)。よって、この細胞株ではMYCサインの抑制は予想されない。 新規MYCサインの同定。(A)すべてのcMETインヒビターIC90サンプルにおいて少なくとも2倍の変化を示す遺伝子をIngenuityを用いて分析した。MYCはデータにより形成される最も有意な相互作用ネットワーク(p<1×10−64)の中央ハブであり、MYCそれ自体及び21個の相互作用パートナーが同定された。星印を付けたノードはcMET抑制によりアップレギュレートされ(より低いMYC活性に関連していることが公知である)、星印のないノードはcMET抑制によりダウンレギュレートされた(より高いMYC活性に関連していることが公知である)。(B)Ingenuity分析に基づいて構築して、我々は新規なMYCサインを同定するためにMYCシグナル伝達を転写的に活性化または抑制することが公知の18個の遺伝子に着目した。このヒートマップは、Bildら(図5Cを参照されたい)のように新規MYCサインは増殖因子シグナル伝達のインヒビターにより抑制されるが、有糸分裂抑制剤により抑制されないことを示している。すべてのアレイに存在する遺伝子モデルのみを示している。実験はヒートマップの左側にリストされている。各実験においてプロファイルした薬物(タキソール)または薬物標的(他のすべて)はヒートマップの右側に沿って示されている。 新規MYCサインの同定。(A)すべてのcMETインヒビターIC90サンプルにおいて少なくとも2倍の変化を示す遺伝子をIngenuityを用いて分析した。MYCはデータにより形成される最も有意な相互作用ネットワーク(p<1×10−64)の中央ハブであり、MYCそれ自体及び21個の相互作用パートナーが同定された。星印を付けたノードはcMET抑制によりアップレギュレートされ(より低いMYC活性に関連していることが公知である)、星印のないノードはcMET抑制によりダウンレギュレートされた(より高いMYC活性に関連していることが公知である)。(B)Ingenuity分析に基づいて構築して、我々は新規なMYCサインを同定するためにMYCシグナル伝達を転写的に活性化または抑制することが公知の18個の遺伝子に着目した。このヒートマップは、Bildら(図5Cを参照されたい)のように新規MYCサインは増殖因子シグナル伝達のインヒビターにより抑制されるが、有糸分裂抑制剤により抑制されないことを示している。すべてのアレイに存在する遺伝子モデルのみを示している。実験はヒートマップの左側にリストされている。各実験においてプロファイルした薬物(タキソール)または薬物標的(他のすべて)はヒートマップの右側に沿って示されている。 増殖因子経路インヒビターに対する増殖因子による増殖因子シグナル伝達経路サインの逆レギュレーション。表5にリストされている遺伝子はY軸に沿って示されており、各種処理はX軸に沿ってリストされている。薬物処理/薬物標的は左側に沿ってリストされており、機能分類は右側に沿ってリストされている。有糸分裂インヒビターは増殖因子シグナル伝達遺伝子の一定のレギュレーションを示さないのに対して、増殖因子経路インヒビターは実施例に記載されているようにロバストなレギュレーションを示す。増殖因子の概要から、我々はヘレグリン(Erbbファミリー受容体に結合し、PI3K/AKTシグナル伝達を活性化する増殖因子)で処理した大腸(HT29)及び乳房(MCF7)細胞のデータを示す。細胞をヘレグリンで0.5、2、6、18または24時間処理した。増殖因子シグナル伝達のインヒビターによるレギュレーションと比較して両方の細胞株におけるヘレグリンによるサイン遺伝子の逆レギュレーションに注目されたい。 複数の介入による同一サインの一定のレギュレーションの根底をなす考えられるメカニズム。細胞表面受容体(Met、FGFR2、IGF1R及びNotch)間のリンクを示し、裏付け文献も示されている。増殖因子受容体及びNotch細胞内ドメイン(NICD)はいずれもPI3K/AKTを介するシグナル伝達を活性化する。こうすると、(他の考えられるリンクの中で)GSK3Bの活性及びフォークヘッド転写因子のレギュレーションによりMYCが活性化される。フォークヘッド転写因子MLLT7並びにフォークヘッド標的HBPl及びBCL6はすべてのMYCサインの一部である(実施例3を参照されたい)(MYCシグナル伝達が抑制されるとアップレギュレートされる)。従って、増殖因子シグナル伝達カスケードに沿った複数のポイントでの介入が最高になり得、いったんシグナルが核に中継されると遺伝子発現の類似パターンが生ずる。 oncotest腫瘍に対するCFUアッセイ。14個の腫瘍株をコロニー形成アッセイにおいてcMETインヒビターMK−2461に対する感受性について試験した。A)cMETmRNA発現をMK−2461に対する応答を予測する能力について試験した。MK−2461処理に対して最も感受性の腫瘍はcMETの低い発現を有していた。B)増殖因子シグナル伝達経路サインをMK−2461に対する応答を予測する能力についても試験した。最も感受性の腫瘍は最高のベースライン増殖因子シグナル伝達経路サインスコアを有していた。これらのデータから、増殖因子シグナル伝達経路サインがcMETのmRNA発現よりもMK−2461感受性のより良い予測子であること及びサインはMK−2461による治療に対する応答を予測するために使用され得ることが示唆される。 oncotest腫瘍に対するCFUアッセイ。14個の腫瘍株をコロニー形成アッセイにおいてcMETインヒビターMK−2461に対する感受性について試験した。A)cMET mRNA発現をMK−2461に対する応答を予測する能力について試験した。MK−2461処理に対して最も感受性の腫瘍はcMETの低い発現を有していた。B)増殖因子シグナル伝達経路サインをMK−2461に対する応答を予測する能力についても試験した。最も感受性の腫瘍は最高のベースライン増殖因子シグナル伝達経路サインスコアを有していた。これらのデータから、増殖因子シグナル伝達経路サインがcMETのmRNA発現よりもMK−2461感受性のより良い予測子であること及びサインはMK−2461による治療に対する応答を予測するために使用され得ることが示唆される。 細胞株におけるcMETインヒビターMK−2461についての早期有効性実験。増殖因子シグナル伝達経路サインの抑制がEBC−I及びGTL−16の2つの細胞株において観察された。これらの2つの細胞株がMK−2461での抑制に対して感受性のアッセイにおいて唯一のものであり、このことから増殖因子シグナル伝達経路サインが有効性の早期読出し情報として使用され得ることが示唆される。 異種移植片におけるcMETインヒビターMK−2461についての初期有効性実験。増殖因子シグナル伝達経路サインの抑制が112mpkでのみ観察された。アッセイした各種用量の中で、112mpkが有効な結果をもたらした唯一の用量であり、このことから増殖因子シグナル伝達経路サインが有効性の早期読出し情報として使用され得ることが示唆される。 Mayo Breastデータセットにおける増殖因子経路シグナル伝達サインのコヒーレンス及び細分についての試験。A)このパネルはコヒーレンス試験の結果を示している。サインの“アップ”及び“ダウン”腕は1つの腕内で有意に相関し、腕間で反相関している。B)“アップ”(赤色)及び“ダウン” (青色)腕はヒートマップにおいて離れてクラスター化している。C)サインの“アップ”及び“ダウン”腕の散布図。“アップ”及び“ダウン”腕の有意性スコアは有意に反相関している。 Mayo Breastデータセットにおける増殖因子経路シグナル伝達サインのコヒーレンス及び細分についての試験。A)このパネルはコヒーレンス試験の結果を示している。サインの“アップ”及び“ダウン”腕は1つの腕内で有意に相関し、腕間で反相関している。B)“アップ”(赤色)及び“ダウン” (青色)腕はヒートマップにおいて離れてクラスター化している。C)サインの“アップ”及び“ダウン”腕の散布図。“アップ”及び“ダウン”腕の有意性スコアは有意に反相関している。 Mayo Breastデータセットにおける増殖因子経路シグナル伝達サインのコヒーレンス及び細分についての試験。A)このパネルはコヒーレンス試験の結果を示している。サインの“アップ”及び“ダウン”腕は1つの腕内で有意に相関し、腕間で反相関している。B)“アップ”(赤色)及び“ダウン” (青色)腕はヒートマップにおいて離れてクラスター化している。C)サインの“アップ”及び“ダウン”腕の散布図。“アップ”及び“ダウン”腕の有意性スコアは有意に反相関している。 Mayo Breastデータセットにおける増殖因子経路シグナル伝達サインの細分。A)このパネルはコヒーレンス試験の結果を示している。サインの“アップ”及び“ダウン”腕はサインを細分した(相関/反相関の正しくないサインを示した遺伝子を除去した)後、1つの腕内で有意に相関し、腕間で有意に反相関している。B)アップ及びダウン分枝の区別を示す細分したサインのヒートマップ。C)細分後のサインのアップ”及び“ダウン”腕の散布図。細分後、“アップ”及び“ダウン”腕はより有意に反相関している。 Mayo Breastデータセットにおける増殖因子経路シグナル伝達サインの細分。A)このパネルはコヒーレンス試験の結果を示している。サインの“アップ”及び“ダウン”腕はサインを細分した(相関/反相関の正しくないサインを示した遺伝子を除去した)後、1つの腕内で有意に相関し、腕間で有意に反相関している。B)アップ及びダウン分枝の区別を示す細分したサインのヒートマップ。C)細分後のサインのアップ”及び“ダウン”腕の散布図。細分後、“アップ”及び“ダウン”腕はより有意に反相関している。 Mayo Breastデータセットにおける増殖因子経路シグナル伝達サインの細分。A)このパネルはコヒーレンス試験の結果を示している。サインの“アップ”及び“ダウン”腕はサインを細分した(相関/反相関の正しくないサインを示した遺伝子を除去した)後、1つの腕内で有意に相関し、腕間で有意に反相関している。B)アップ及びダウン分枝の区別を示す細分したサインのヒートマップ。C)細分後のサインのアップ”及び“ダウン”腕の散布図。細分後、“アップ”及び“ダウン”腕はより有意に反相関している。 コアFFPE細分サインの“アップ”及び“ダウン”腕間の差の有意性をコルモゴルフ−スミルノフ検定を用いて試験した。点線はα=0.05有意性で引く。 乳房腫瘍、肺腫瘍及び卵巣腫瘍からのMayo FFPEデータセットで試験したサインのアップ−ダウン腕の差の有意性を検出するためのコルモゴルフ−スミルノフ、ステューデントのt検定及びウィルコクソン順位和検定の同値性。 サイン翻訳のために開発された戦略の全体的記述。 開発した各アッセイ毎のPCR有効性のヒストグラム。 120個のFFPEサンプルで10個のランダムに選択したアッセイについての発現データ。試験1=増殖因子シグナル伝達経路サイン。DOWNは遺伝子がサインのダウン腕に由来したことを示している。各アッセイ毎にダイナミック範囲及び要約統計量を示している。 増殖因子シグナル伝達経路サイン遺伝子について作成した相関行列。この相関行列は、増殖因子シグナル伝達経路遺伝子の部分集合に対して120個のFFPE腫瘍サンプルでアップ腕内及びダウン腕内の相関、並びにアップ及びダウン腕間の反相関を示している。Rho=ピアソン相関係数。 120個のFFPE腫瘍サンプルでの5つの潜在的ノーマライザー遺伝子の発現変動。上図は各腫瘍サンプル毎に3回測定値の平均Ct値を示している。下図は各腫瘍型中の各遺伝子毎の変動係数を示している。腫瘍型で<3% Cvを有する遺伝子が強調されている。発現の変動及びレベルが低いことから、NUP214、SAFB及びPRPF8を増殖因子シグナル伝達経路サインに対する我々のノーマライザーとして選択した。 FFPE卵巣腫瘍サンプルにおいてマイクロアレイまたはqPCRにより作成したサインスコアの比較。 増殖因子刺激によりレギュレートされた遺伝子。MCF7またはHT29細胞株をEGF、IGF、インスリン、b−FGFまたはヘレグリンで0.5、2、6、12または24時間処理した。ヒートマップには増殖因子及びビヒクルで処理したサンプル間でp<0.001で差次的に発現した約4,500個の遺伝子が示されている。マゼンタ色の遺伝子は増殖因子刺激によりアップレギュレートされ、シアン色の遺伝子は増殖因子刺激によりダウンレギュレートされた。カラーバーはビヒクルと比較した変化についてのlog(10)比を表している。 EGF、FGF、IGF、インスリンまたはヘレグリンは類似の遺伝子発現変化を誘導する。A)MCF7及びHT29ヒト癌細胞株において投与から0.5、2、6、12または24時間目の増殖因子の各々により誘導される変化はアップレギュレートされた傾斜パターンと相関していた。Y軸は遺伝子の数を表し、X軸はビヒクルと比較した発現のlog(10)比を表している。第1列はEGFにより、第2列はFGFにより、第3列はIGF1により、第4列はインスリンにより、第5列はヘレグリンによりアップレギュレートされている遺伝子のみを示している。第1行はEGFにより、第2行はFGFにより、第3行はIGF1により、第4行はインスリンにより、第5行はヘレグリンにより刺激したとき、列に従ってフィルターにかけた遺伝子がどのように挙動するかを示している。1つの増殖因子によりアップレギュレートされる遺伝子は他の増殖因子によってもアップレギュレートされる。B)1つの増殖因子によりダウンレギュレートされる遺伝子は他の増殖因子によってもダウンレギュレートされる。 EGF、FGF、IGF、インスリンまたはヘレグリンは類似の遺伝子発現変化を誘導する。A)MCF7及びHT29ヒト癌細胞株において投与から0.5、2、6、12または24時間目の増殖因子の各々により誘導される変化はアップレギュレートされた傾斜パターンと相関していた。Y軸は遺伝子の数を表し、X軸はビヒクルと比較した発現のlog(10)比を表している。第1列はEGFにより、第2列はFGFにより、第3列はIGF1により、第4列はインスリンにより、第5列はヘレグリンによりアップレギュレートされている遺伝子のみを示している。第1行はEGFにより、第2行はFGFにより、第3行はIGF1により、第4行はインスリンにより、第5行はヘレグリンにより刺激したとき、列に従ってフィルターにかけた遺伝子がどのように挙動するかを示している。1つの増殖因子によりアップレギュレートされる遺伝子は他の増殖因子によってもアップレギュレートされる。B)1つの増殖因子によりダウンレギュレートされる遺伝子は他の増殖因子によってもダウンレギュレートされる。 Ingenuity Pathway分析を用いて評価した増殖因子サインが濃縮された標準的経路。この経路は増殖因子処理によりアップまたはダウンレギュレートされた遺伝子内で有意に(p<0.05)濃縮された。Y軸は濃縮に対する負のlog(10)p値を示している。経路はX軸に沿って示されている。点線はp=0.05を表す。 増殖因子サインはHT−29及びMCF−7細胞株の両方においてロバストにレギュレートされている。マゼンタ色の遺伝子は増殖因子刺激によりアップレギュレートされたのに対して、シアン色の遺伝子は増殖因子刺激によりダウンレギュレートされた。カラーバーはビヒクルと比較した変化のlog(10)比を表している。 c−MYCの活性化、増殖及び増殖因子サインの時間的パターン。細胞株及び増殖因子で各サインスコアを計算し、平均化した。Y軸はサインスコアを表し、X軸は増殖因子添加後の時点を表す。エラーバーは標準偏差を表す。c−MYC及び増殖サインとは対照的に、増殖因子サインは2時間で誘導され、24時間を通じて有意に誘導されたままである。 増殖因子により誘導された負のフィードバック。示したデータは(A)EGFR、(B)ERBB3、(C)INSR、または(D)異常PTEN活性の最近公表されたサインのmRNA発現に対する各増殖因子の影響を表している。Y軸はビヒクルと比較した発現のlog(10)比を表す。各図の左半分はMCF7細胞についてのデータ、右半分はHT29細胞についてのデータを示している。X軸は増殖因子添加後の時点を表す。 連結性マップデータセットにおけるサインレギュレーション。連結性マップデータセット中の化合物の増殖因子サイン、増殖サイン及びc−MYCサインに対する効果を評価した。各サイン毎に、各行は1つの化合物処理を表す。処理は各サインに対するその効果に従って順位付けされている。赤色の行はサインをアップレギュレートする処理、灰色の行は有意な効果を有していない処理を表し、緑色の行はサインをダウンレギュレートする処理を表す。興味深い3つの化合物が強調されている:黄色=LY−294002;青色=シロリムス;黒色=ワートマニン。 AKT1の小分子インヒビターは増殖因子サインのダウンレギュレーションを引き起こした。AKT1の小分子インヒビターをLoVo細胞株に4または24時間添加した。データは時間照合ビヒクルに対するlog(10)比として表した。 乳癌サブタイプでの(A)増殖因子サイン、(B)PTENmRNA、(C)異常PTENサイン、及び(D)ERBB3 mRNA発現の分布。各図において、Y軸は平均センタリングしたデータにおけるサインスコア(A及びC)または1つの遺伝子のlog(10)発現(B及びD)を表す。X軸は平均センタリングしたデータにおけるERBB2のlog(10)遺伝子発現を表す。X及びY軸の点線はすべての乳房腫瘍サンプルの平均を表す。従って、ERBB2発現>0を有するサンプルはERBB2高と見なされ得、ERBB2発現<0を有するサンプルはERBB2低と見なされ得る。ER状態はESR1遺伝子の発現に基づき、ER状態コールは既報のように実施した(Van de Vijverら,2002,N.Engl.J.Med.,347:1999−2009)。白丸はER陽性腫瘍を表し、黒丸はER陰性腫瘍を表す。 乳癌サブセットにおける増殖及び解糖サイン。Y軸は増殖サインスコアを表し、X軸は解糖サインスコアを表す。ライトグレー色の丸はHER2+乳房腫瘍(Van de Vijverら,2002,N.Engl.J.Med.,347:1999−2009における平均よりも高いERBB2 mRNA発現を有する乳房腫瘍と定義される)を表す。ダークグレー色の丸は“トリプルネガティブ” 乳房腫瘍(上掲したVan de Vijverらにおける平均を下回るERBB2 mRNA発現を有するER及びPR陰性乳房腫瘍と定義される)を表す。 解糖サインは増殖因子治療によりアップレギュレートされる。発現が解糖と明確に相関している遺伝子のみを示す。マゼンタ色の遺伝子は増殖因子刺激によりアップレギュレートされ、シアン色の遺伝子は増殖因子刺激によりダウンレギュレートされた。カラーバーはビヒクルと比較した変化についてのlog(10)比を表している。 IGF1R化合物MK−0646による増殖因子経路サイン変化の程度対腫瘍異種移植片増殖抑制の大きさ。] 図3A 図3B 図5C [0009] 本セクションは、本明細書中に開示されている本発明の代表的な多くの各種態様及び実施形態を詳細に記載する。この記載は詳細及び具体性を変えた幾つかの例示的説明にすぎない。これらの実施形態の他の特徴及び作用効果はいろいろな実施例を含めた本明細書中に与えられている追加の記載から明白である。提示されている例は本発明の各種実施形態を実施する際に有用な各種成分及び手法を説明している。これらの例は特許請求されている発明を限定すると、意図されない。本明細書の開示内容に基づいて、当業者は本発明を実施するために有用な他の成分及び手法を同定し、使用することができる。] [0010] 3.1 序論 本発明の各種実施形態は、その発現パターンが癌細胞の重要な特徴、すなわち増殖因子(PI3K)シグナル伝達経路のデレギュレーションに相関している遺伝子バイオマーカーの集合に関する。幾つかの実施形態では、これらのバイオマーカーの集合は2つの対立する“腕”(表5a及び5b、表9、表11を参照されたい)、すなわち増殖因子(PI3K)経路を介するシグナル伝達が増加するにつれてアップレギュレートされる遺伝子である“アップ”腕及びダウンレギュレートされる遺伝子である“ダウン”腕に分けられ得る。より具体的には、本発明の幾つかの態様は、その発現が患者の腫瘍細胞サンプルの増殖因子シグナル伝達経路のレギュレーション状態に相関し、デレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有する腫瘍を、レギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有する腫瘍から分類するために使用され得る、遺伝子バイオマーカーの集合を提供する。増殖因子シグナル伝達経路レギュレーション状態は、患者が増殖因子シグナル伝達経路のインヒビターのようなある治療薬に応答する可能性の有用な指標である。治療薬には、PI3KインヒビターのLY249002、ワートマニン及びPX−866;AKTインヒビターの17−AAG、PX316、ミルテホシン及びペリホシン;mTORインヒビターのラパマイシン、CCI1779、デフォロリムスGaud Rad001(Henson and Gibson,2006,Cellular Signalling,18:2089−2097;Hennessyら,2005,Nat.Rev.Drug Disc.,4:988−1004において精査されている)、並びにIGF1Rモノクローナル抗体MK−0646(U.S.特許7,241,444)が含まれるが、これらに限定されない。また、デレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有している腫瘍は有糸分裂抑制剤タイプの治療薬(例えば、タキソール、KSPインヒビター、チューブリンインヒビター、キネシンインヒビター、キナーゼ阻害剤)に対して非常に低い応答を示す。本発明の1つの態様で、増殖因子シグナル伝達経路のインヒビターに応答するであろう患者群(予測される応答者)と増殖因子シグナル伝達経路のインヒビターに応答しないであろう患者群(予測される非応答者)を区別し、治療の一般的な方針を決定するための上記バイオマーカーの使用方法を提供する。本発明の別の態様は、その発現が癌を有している被験者中の増殖因子シグナル伝達経路に対する治療薬の薬力学的効果に相関しているバイオマーカーに関する。本発明の更に他の態様では、癌を有している被験者中の増殖因子シグナル伝達経路に対する治療薬の薬力学的効果を調べるための上記バイオマーカーの使用方法及び増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートするために治療薬の有効性を順位付けるための上記バイオマーカーの使用方法を提供する。これらのバイオマーカーを含むマイクロアレイ及び前記マイクロアレイの構築方法も提供する。バイオマーカーの各々はヒトゲノム中の遺伝子に対応し、すなわち前記バイオマーカーは遺伝子の全部または一部として同定され得る。最後に、上記バイオマーカーの各々が癌関連状態に相関しているために、バイオマーカーまたは該バイオマーカーがコードするタンパク質は癌に対する薬物の標的になるであろう。] [0011] 本発明の他の実施形態では、その発現パターンが癌細胞の別の重要な特徴、すなわちより多くの解糖に相関している遺伝子バイオマーカーの集合(表13)に関する。より具体的には、本発明の幾つかの態様は、その発現が解糖経路活性に相関し且つ高い解糖経路活性を有する腫瘍を高い解糖経路活性を有していない腫瘍または正常細胞サンプルから分類するために使用され得る遺伝子バイオマーカーの集合に関する。高い解糖経路活性は原発性及び転移性癌のほぼ一般的な特性であり、腫瘍を正常細胞サンプルから分類するために使用され得、患者が解糖経路のインヒビターのようなある治療薬に対して応答するであろう可能性の有用な指標であり得る。治療薬にはヘキソキナーゼ阻害剤ロニダミン、3−ブロモピルベート;グルコースアナログ2−デオキシグルコース;イマチニブ;ホスホフルクトキナーゼ阻害剤;ピルベートキナーゼ阻害剤;ピルベートデヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤;オキシチアミン;ゲニステイン;5−チオグルコース;マンノヘプツロース;α−クロロヒドリン;オルニダゾール;グルフォスファミド;ヒ素化合物;オキサメート;ヨードアセテート;ビスホスホネート;ツベルシジン;並びにNa+/K+−ATPアーゼポンプインヒビター(Lopez−Lazaro,2008,Anti−Cancer Agents in Medicinal Chemistry,8:305−312において精査されている)が含まれるが、これらに限定されない。解糖経路バイオマーカーは、患者が増殖因子シグナル伝達経路のインヒビターに応答するであろう可能性の有用な指標でもあり得る。本発明の1つの態様で、解糖経路のインヒビターに応答するであろう患者群(予測される応答者)と解糖経路のインヒビターに応答しないであろう患者群(予測される非応答者)を区別し、治療の一般的方針を決定するための上記バイオマーカーの使用方法を提供する。本発明の別の態様は、その発現が癌を有している被験者中の解糖経路に対する治療薬の薬力学的効果に相関しているバイオマーカーに関する。本発明の更に他の態様で、癌を有している被験者中の解糖経路に対する治療薬の薬力学的効果を調べるための上記バイオマーカーの使用方法及び解糖経路をモジュレートするために治療薬の有効性を順位付けるための上記バイオマーカーの使用方法を提供する。これらのバイオマーカーを含むマイクロアレイ及び前記マイクロアレイの構築方法も提供する。バイオマーカーの各々はヒトゲノム中の遺伝子に対応し、すなわち前記バイオマーカーは遺伝子の全部または一部として同定され得る。最後に、上記バイオマーカーの各々が癌関連状態に相関しているために、バイオマーカーまたは該バイオマーカーがコードするタンパク質は癌に対する薬物の標的になるであろう。] [0012] 3.2 定義 他の方法で定義されていない限り、本明細書中で使用されている技術用語及び科学用語のすべては本発明が属する業界の当業者が通常理解しているのと同じ意味を有している。] [0013] 本明細書中で使用されている場合、本明細書中に記載されている1個以上の遺伝子に相補的なオリゴヌクレオチド配列は、ストリンジェントな条件下で遺伝子のヌクレオチド配列の少なくとも一部にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドを指す。ハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドは典型的にはヌクレオチドレベルで遺伝子に対して少なくとも約75%の配列同一性、好ましくは約80%または85%の配列同一性、より好ましくは約90%または95%、或いはそれ以上の配列同一性を示す。] [0014] 「実質的に結合する」は、プローブ核酸と標的核酸間の相補的ハイブリダイゼーションを指し、標的ポリヌクレオチド配列の所望する検出を達成するためにハイブリダイゼーション媒体のストリンジェンシーを低下させることにより調節され得るマイナーミスマッチも包含する。] [0015] フレーズ「に対して特異的にハイブリダイズする」は、配列が複合混合物(例えば、全細胞)DNAまたはRNA中に存在するとき分子がストリンジェントな条件下で1つ以上の特定のヌクレオチド配列に対して実質的または部分的に結合、二重鎖形成またはハイブリダイズすることを指す。] [0016] 「バイオマーカー」は、その発現または発現レベルがある条件下で変化する遺伝子、タンパク質、または前記遺伝子由来のESTを意味する。遺伝子の発現がある条件に相関している場合、その遺伝子は当該条件に対するバイオマーカーである。] [0017] 「バイオマーカー誘導ポリヌクレオチド」は、バイオマーカー遺伝子から転写されたRNA、そこから産生されるcDNAまたはcRNA、並びにそこから誘導される核酸(例えば、バイオマーカー遺伝子に対応する遺伝子に由来する配列を有する合成核酸)を意味する。] [0018] 遺伝子マーカーは、遺伝子マーカーの発現が偶然予想される以上に状態、表現型、遺伝子型または臨床的特徴に相関または反相関しているならば、前記した状態、表現型、遺伝子型または臨床的特徴についての「情報」を与える。] [0019] 本明細書中で使用されている用語「遺伝子」は当業界で理解されている意味を有している。しかしながら、用語「遺伝子」が遺伝子調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー等)及び/またはイントロン配列を含み得ることは当業者に自明であろう。更に、遺伝子の定義がタンパク質をコードせず、むしろtRNAのような機能性RNA分子をコードする核酸への言及を含むことも明白である。明瞭とするために、用語「遺伝子」は一般的にはタンパク質をコードする核酸の一部を指す。この用語は場合により調節配列を包含し得る。この定義は、用語「遺伝子」の非タンパク質コード化発現単位への適用を排除することを意図せず、むしろ多くの場合本明細書中で使用されているこの用語はタンパク質コード化核酸を指すことを明瞭とすることを意図する。幾つかの場合には、遺伝子は転写、またはメッセージ作成または組成に関与する調節配列を含む。他の実施形態では、遺伝子はタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードする転写配列を含む。本明細書中に記載されている学術用語と合わせると、「単離遺伝子」は、他の天然に存在する遺伝子、調節配列、ポリペプチドまたはペプチドコード配列等のような他の配列から実質的に単離された転写核酸、調節配列、コード配列等を含み得る。この点で、用語「遺伝子」はわかりやすくするために転写されたヌクレオチド配列からなる核酸及びその相補体を指すために使用されている。特定実施形態では、転写されたヌクレオチド配列は少なくとも1つの機能性タンパク質、ポリペプチド及び/またはペプチドコード単位を含む。当業者が理解しているように、この機能的用語「遺伝子」はゲノム配列、RNAまたはcDNA配列、或いは遺伝子の非転写部分の核酸セグメントを含めたより小さな工学処理した核酸セグメントを含む。前記した遺伝子の非転写部分には遺伝子の非転写プロモーターまたはエンハンサー領域を含むが、これらに限定されない。より小さな工学処理した遺伝子核酸セグメントは核酸操作技術、タンパク質、ポリペプチド、ドメイン、ペプチド、融合タンパク質、変異体及び/またはその他を用いて発現し得、または発現するように改変され得る。コード領域の5’に位置し、mRNA上に存在する配列は5’非翻訳配列(“5’UTR”)と称される。コード領域の3’または下流に位置し、mRNA上に存在する配列は3’非翻訳配列または(“3’UTR”)と称される。] [0020] 「有糸分裂インヒビター」は、有糸分裂を抑制する薬物または物質を指す。有糸分裂インヒビターは2つのクラスに分けられ得る。1つのクラスには微小管動態をモジュレートする物質が含まれる。これらの物質はチューブリンに可逆的に結合し、微小管組立及び分解を防止し得る。第2のクラスには、有糸分裂キネシン、キナーゼ、セパラーゼ等のような特定の細胞内標的と相互作用することにより有糸分裂事象を代理で調節する非チューブリン結合物質が含まれる。有糸分裂インヒビターの例は当業界で公知であり、その中にはチューブリンインヒビター(例えば、タキサン、エポチロン、ビンカアルカロイド、コンブレタスタチン、エレウテロビン);キネシンインヒビター(例えば、モナストロール、エナストロン、エナストロール、VS−83、スルホキノボシルアシルグリセロ−ル、イスピネシブ、アドシアスルファート−2);有糸分裂キナーゼ阻害剤(例えば、PLK1インヒビターのワートマニン、スキトネミン、スタウロスポリン、ON−019010、BI−2536);オーロラキナーゼ阻害剤(VX−680、MLN−8054、PHA−680632、PHA−739358、AZD−1152、VX−528、MP−235、ヘスペラジン、ZM−447439);及びセパラーゼ阻害剤(Ivachtchenkoら,2007,Current Cancer Drug Targets,7:766−784において精査されている)が含まれるが、これらに限定されない。] [0021] 「サイン」は差次的発現パターンを指す。cRNA産物をマイクロアレイ分析において使用するときその発現が検出される個々のユニークなプローブの数として表示され得る。サインはバイオマーカーの特定集合により例示され得る。] [0022] 「類似値」は比較する2つの事柄の類似度を表す値である。例えば、類似値は、特定の表現型関連バイオマーカーを用いる細胞サンプル発現プロファイルとそのテンプレートに特異的な対照間の全体的類似性(例えば、表現型がデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路状態のときには“デレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレート”に対する類似性)を示す数であり得る。類似値は相関係数のような類似性メトリックとして表示され得、或いは単に細胞サンプル発現プロファイルとベースラインテンプレート間の発現レベルの差または表現レベルの差の総計として表示され得る。] [0023] 本明細書中で使用されている用語「発現レベルを測定する」、「発現レベルを得る」及び「発現レベルを検出する」等は、例えば遺伝子の転写物または遺伝子によりコードされるタンパク質の遺伝子発現レベルを定量する方法、並びに当該遺伝子が少しでも発現するかを判定する方法を含む。よって、必ずしも定量することなく発現の量の「イエス」または「ノー」の結果を与えるアッセイはその用語が本明細書中で使用されているとき「発現を判定する」アッセイである。或いは、測定または得られた発現レベルは、定量値、例えば対照遺伝子または別のサンプル中の同一遺伝子と比較したアップまたはダウン発現の数倍の変化、または発現のlog比、或いはその視覚表示、例えばカラー強度が検出された遺伝子発現の量を表す「ヒートマップ」として表示され得る。増殖因子シグナル伝達経路デレギュレーションを有する腫瘍細胞中で差次的に発現されるとして同定された遺伝子は、所与のサンプル中の遺伝子または複数の遺伝子の発現レベルを検出または定量するための各種の核酸またはタンパク質検出アッセイにおいて使用され得る。遺伝子の発現レベルを検出するための方法の例にはノーザンブロッティング法、ドットまたはスロットドット法、レポーター遺伝子マトリックス(例えば、US5,569,588号を参照されたい)ヌクレアーゼ保護、RT−PCR、マイクロアレイプロファイリング、ディファレンシャルディスプレイ、2Dゲル電気泳動、SELDI−TOF、ICAT、酵素アッセイ、抗体アッセイ等が含まれるが、これらに限定されない。] [0024] 「患者」はヒトまたは非ヒト動物、好ましくは哺乳動物を意味し得る。] [0025] 本明細書中で使用されている「被験者」は生物;或いはそこに由来する細胞サンプル、組織サンプルまたは臓器サンプルを指し、その中には例えば培養細胞株、生検、血液サンプルまたは細胞を含有する流体サンプルが含まれる。多くの場合、被験者または被験者に由来するサンプルは複数の細胞型を含む。1つの実施形態では、サンプルは例えば腫瘍及び正常細胞の混合物を含む。1つの実施形態では、サンプルは少なくとも10%、15%、20%、…、90%または95%の腫瘍細胞を含む。生物は動物であり得、その動物には非限定的にウシ、ブタ、マウス、ラット、家兎、ネコ、イヌ等の動物が含まれ、通常ヒトのような哺乳動物である。] [0026] 本明細書中で使用されている用語「経路」は、産物または活性を生ずる2つ以上の連続的分子相互作用に関与するシステム成分の集合を意味すると意図される。経路は各種の産物または活性を生じ得、その中には例えば分子間相互作用、核酸またはポリペプチドの発現の変化、2つ以上の分子間の複合体の形成または解離、代謝性産物の蓄積または分解、酵素または結合活性の活性化または不活性化が含まれ得る。よって、用語「経路」は各種経路タイプ、例えば生化学的経路、遺伝子発現経路、調節経路を含む。また、経路はこれらの例示的経路タイプの組合せを含み得る。] [0027] 「増殖因子シグナル伝達経路」は、増殖因子(非限定的に、ヘレグリン、インスリン、IGF、FGF、EGFを含む)が受容体チロシンキナーゼ(非限定的に、受容体のERBBファミリーを含む)に結合することにより開始する。増殖因子がその対応する受容体に結合すると、受容体のダイマー化、主要チロシン残基のリン酸化、及び受容体の細胞内部分での幾つかのタンパク質の補充が生ずる。その後、これらのタンパク質はPI3K/AKT、RAS/ERKやJAK/STATシグナル伝達経路のような幾つかの経路を介する細胞内シグナル伝達を開始し、それにより抗アポトーシスタンパク質の活性化及びプロアポトーシスタンパク質の不活化が生ずる(Henson and Gibson、2006、Cellular Signaling,18:2089−2097において精査されている)。他の方法で特定されていない限り、本明細書中で「増殖因子シグナル伝達経路」は外部増殖因子が膜チロシンキナーゼ受容体に結合することにより開始するPI3K/AKTシグナル伝達経路を介するシグナル伝達を指すと理解される。] [0028] 「PI3K/AKTシグナル伝達経路」または「AKTシグナル伝達経路」としても公知の「PI3Kシグナル伝達経路」は、増殖因子が受容体チロシンキナーゼに結合することにより活性化される細胞内シグナル伝達経路の1つを指す。活性化すると、PI3Kはホスファチジルイノシトール−4,5−ビスホスホネート(PIP2)をホスファチジルイノシトール−3,4、5−トリホスホネート(PIP3)にリン酸化し、このプロセスはPTENにより逆転する。PIP3シグナルはキナーゼPDK1を活性化し、後者はキナーゼAKTを活性化する。PI3Kシグナル伝達経路の説明のために図1も参照されたい(PI3K/AKTシグナル伝達カスケードを精査するためにHennessyら,2005,Nat.Rev.Drug Discov.,4:988−1004も参照されたい)。加えて、PI3Kシグナル伝達経路はRAS経路のような他の細胞内シグナル伝達経路によってもモジュレートされ得、その結果増殖因子がその受容体に結合することにより活性化された細胞内シグナル伝達経路内で混線が生ずる。PI3Kシグナル伝達経路には表1にリストされている遺伝子及びこれによりコードされるタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。] 図1 [0029] ] [0030] 「増殖因子経路物質」はPI3K/AKTシグナル伝達腕を介して増殖因子経路シグナル伝達をモジュレートする物質を指す。増殖因子経路インヒビターはPI3K/AKTシグナル伝達腕を介して増殖因子経路シグナル伝達を抑制する。前記インヒビターの分子標的にはPDK、AKT、mTOR、PDK1、MYC、cMET、FGFR2、増殖因子(EGF、b−FGF、IGF1、インスリンまたはヘレグリン)及びその対応する受容体、並びに表1にリストされている遺伝子が含まれ得る。前記物質は当業界で公知であり、その中にはホスファチジルイノシトールエーテルリピドアナログ、アルキルホスホリピドアナログ、アロステリックAKTインヒビター、HSP90インヒビター、アルキルホスホリピドペリホシン、ラパマイシン、RAD001、FTY720、PDK1インヒビター(BX−795、BX−912及びBX−320(Feldmanら,2005,J.Biol.Chem.,280:19867−19874);7−ヒドロキシスタウロスポリン(Satoら,2002,Oncogene,21:1727−1738));PI3Kインヒビター(ワートマニン(Wymannら,1996,Mol.Cell.Biol.,16:1722−1733);LY294002(Vlahosら,1994,J.Biol.Chem.,269:5241−5248;Wetzker and Rommel,2004,Curr.Pharm.Des.,10:1915−1922);IC87114(Finan and Thomas,2004,Biochem.Soc.Trans.,32:378−382;WO0181346、WO01372557、US6403588、WO0143266);AKT抗体(Shinら,2005,Cancer Res.,65:2815−2824)(AKT経路のインヒビターを精査するためにChengら,Oncogene,2005,24:7482−7492を参照されたい)、及びIGF1Rインヒビター(例えば、モノクローナル抗体MK−0646m;U.S.特許7,241,444)が含まれるが、これらに限定されない。増殖因子シグナル伝達経路バイオマーカーを同定し、細分するために使用した実施例セクションにリストされているインヒビター及び物質も増殖因子経路物質の例(すなわち、AKT1/2インヒビターL−001154547(’547;3−フェニル−2−(4−{[4−(5−ピリジン−2−イル−1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}フェニル)−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;WO2006065601に開示されている)、L−01173931(’931;6−メチル−3−フェニル−2−(4−{[4−(5−ピリジン−2−イル−1H−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ピペリジン−1−イル]−メチル}フェニル)−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;WO2006065601に開示されている);γ−セクレターゼ阻害剤421B(US7,138,400及びWO02/36555);cMETインヒビターL−001501404(4−(6−フェニル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b][1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノール;US7,122,548も参照されたい)、MK−2461(N−[(2R)−1,4−ジオキサン−2−イルメチル]−N−メチル−N’−[3−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]スルファミド)、及びL−001793225(1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドである。] [0031] 用語「デレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路」は、本明細書中で増殖因子シグナル伝達経路が過剰活性化または過小活性化されていることを意味すべく使用されている。増殖因子シグナル伝達経路は、正常(レギュレートされている)サンプル中の増殖因子シグナル伝達経路よりも少なくとも10%、20%、50%、75%、100%、200%、500%、1000%高い活性/シグナル伝達を有しているならばサンプル(例えば、腫瘍サンプル)中で過剰活性化されている。増殖因子シグナル伝達経路は、サンプル(例えば、腫瘍サンプル)中の活性/シグナル伝達が正常(レギュレートされている)サンプル中の増殖因子シグナル伝達経路よりも少なくとも10%、20%、50%、75%、100%低いならば過小活性化されている。レギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有する正常サンプルは隣接する正常組織由来であったり、またはデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達を有していない他の腫瘍サンプルであり得る。或いは、サンプル増殖因子シグナル伝達経路状態の比較は薬物または物質対ビヒクルで治療した同一サンプルを用いてなされ得る。活性化状態の変化は増殖因子シグナル伝達経路中の1つ以上の遺伝子の変異(例えば、点変異、欠失または増幅)、転写調節の変化(例えば、メチル化、リン酸化またはアセチル化の変化)、またはタンパク質レギュレーションの変化(例えば、翻訳または翻訳後コントロールメカニズム)に起因し得る。] [0032] 用語「解糖(glycolysis)経路」または「解糖(glycolytic)経路」は、1つのグルコース分子を2つのピルベート分子に分解して2つのATPを生成する酸素非依存性細胞エネルギー生成経路を指す。その後、ピルベートは解糖経路においてラクテートに還元される。酸素の存在下で、ピルベートはHCO3に酸化されると、1グルコースあたり36個の追加ATPが生ずる(酸化的リン酸化経路)。酸素の存在下でのグルコースの乳酸への変換は所謂「好気的解糖」または「ワーブルグ効果」とも呼ばれている。酸素の存在下での高い解糖(好気的解糖)は原発性及び転移性癌の特徴である(Gatenby and Gillies,2004,Nature Reviews Cancer,4:891−899;Lopez−Lazaro,2008,Anti−Cancer Agents in Med.Chem.,8:305−312;Kondoh,2008,Exp.Cell Res.,314:1923−1928において精査されている)。] [0033] 「解糖経路物質」は解糖経路をモジュレートする物質を指す。解糖インヒビターは解糖経路を抑制する。前記インヒビターの分子標的にはヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ピルベートキナーゼ、グルコーストランスポーターが含まれる。そのような物質は当業界で公知であり、この中にはロニダミン、3−ブロモピルベート、2−デオキシグルコース、イマチニブ、ATPクエン酸リアーゼ阻害剤SB−204990、オキシチアミン、ゲニステイン、5−チオグルコース、マンノヘプツロース、α−クロロヒドリン、オルニダゾール、グルホスファミド、ヒ素化合物、オキサメート、ヨードアセテート、ビスホスホネート、ツベルシジン、及びNa+/K+−ATPアーゼポンプインヒビター、GLUTインヒビター、3−(3−ピリジニル)−1−(4−ピリジニル)−2−プロペン−1−オン、ジクロロアセテート(Lopez−Lazaro,2008,Anti−Cancer Agents in Medicinal Chemistry,8:305−312;Clemら,2008,Mol.Cancer Ther.,7:110−120;Bonnetら,2007,Cancer Cell,11:37−51において精査されている)が含まれるが、これらに限定されない。] [0034] 用語「発癌経路」は、本明細書中で過剰活性化または過小活性化されたとき癌の発生または進行の原因となる経路を意味すべく使用されている。1つの実施形態では、発癌経路は癌遺伝子または癌サプレッサー遺伝子を含むものである。] [0035] 本発明に関連していろいろな文法形の用語「治療する」は、病的状態、病気の進行、病気の原因物質(例えば、細菌またはウイルス)または他の異常な状態の有害な影響を予防する(すなわち、化学防御)、治癒させる、逆転させる、弱める、緩和する、最小限にする、抑制する、または停止させることを指す。例えば、治療は病気の症状(すなわち、必ずしもすべての症状でない)の緩和または病気の進行の減衰を含み得る。] [0036] 本明細書中で使用されている「癌の治療」は、哺乳動物、例えばヒトにおける癌転移を含めた癌の進行を部分的にまたは完全に抑制、遅延または防止すること;癌転移を含めた癌の再発を抑制、遅延または防止すること;または癌の発生または発症を防止すること(化学防御)を指す。加えて、本発明の方法は癌を有しているヒト患者を治療するために実施され得る。しかしながら、本発明の方法は他の哺乳動物の癌の治療にも有効であろう。] [0037] 本明細書中で使用されている用語「治療有効量」は、癌を治療するために必要な治療レジメンにおける治療薬の量を特定するために意図されている。これは、所望の生物学的応答を与える第1及び第2治療の合計量のような複数の治療薬の使用を含めた併用治療を含む。所望の生物学的応答は哺乳動物、例えばヒトにおける癌転移を含めた癌の進行を部分的にまたは完全に抑制、遅延または防止すること;癌転移を含めた癌の再発を抑制、遅延または防止すること;または癌の発生または発症を防止すること(化学防御)である。] [0038] 「分類結果、予測結果または有効性結果を表示または出力させる」は、遺伝子発現に基づくサンプルの分類または予測の結果をメディア、例えば口頭で、文字で、画像表示等、コンピューター読み取り可能媒体またはコンピューターシステムを用いてユーザーに伝達することを意味する。結果を出力することがユーザーまたはリンクされているエクスターナルコンポーネント(例えば、コンピューターシステムまたはコンピューターメモリー)に出力させることに限定されず、代替または追加的にインターナルコンポーネント(例えば、コンピューター読み取り可能媒体)に出力させてもよいことは当業者に明白である。コンピューター読み取り可能媒体にはハードドライブ、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、DVD、DATが含まれ得るが、これらに限定されない。コンピューター読み取り可能メディアはデータ搬送波または転送のための他の波の形態を含まない。本明細書中に開示、特許請求されている各種のサンプル分類方法はコンピューターにより実行され得るが、必須ではないこと及び例えば表示または出力ステップは例えばヒトに対して口頭または文字で(例えば、手書きで)行われることは当業者に明白である。] [0039] 3.3腫瘍を分類し、治療薬に対する応答を予測する際に有用なバイオマーカー 3.3.1バイオマーカー集合 本発明の1つの態様は、その発現がクラスタリング分析により増殖因子シグナル伝達経路デレギュレーションと相関している101個のバイオマーカーの集合を提供する。増殖因子シグナル伝達経路のレギュレーション状態に従って腫瘍を分類するために、増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする化合物に対する癌患者の応答を予測するために、または治療薬の増殖因子シグナル伝達経路に対する薬力学的効果を判定するために有用であるとして同定されたこれらのバイオマーカーは配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、72、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、149、151、153、155、157、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、97、99、101、103、105、107、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、185、187、189、191、193及び195としてリストされている(表5a及び5bも参照されたい)。本発明の別の態様は、診断時に腫瘍型を区別するためまたは治療薬に対する応答を予測するための上記バイオマーカーの使用方法を提供する。本発明の1つの実施形態では、101個のバイオマーカー集合は2つの対立する“腕”、すなわち増殖因子経路を介するシグナル伝達が増加するにつれてアップレギュレートされる遺伝子である“アップ”腕(表5a及び5bを参照されたい)及びダウンレギュレートされる遺伝子である“ダウン”腕に分けられ得る。] [0040] 1つの実施形態では、本発明は、増殖因子シグナル伝達経路レギュレーション状態により腫瘍を分類し得る、すなわちレギュレート及びデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有している腫瘍を区別し得る101個のバイオマーカーの集合を提供する。これらのバイオマーカーは表5a及び5bにリストされている。本発明はまた、デレギュレート及びレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有する腫瘍を区別し得る101個の集合から選抜した少なくとも少なくとも5、10、20、30、40、50、75または100個のバイオマーカーの部分集合を提供する。代替実施形態では、101個の集合から選抜した20個のバイオマーカーの部分集合は表10にリストされている。或いは、デレギュレート及びレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有する腫瘍を区別し得る“アップ”腕(表5aを参照されたい)から選抜した少なくとも3、5、10、15、20、25個のバイオマーカーの部分集合及び“ダウン”腕(表5bを参照されたい)から選抜した少なくとも3、5、10、15、20、25個のバイオマーカーの部分集合を提供する。1つの実施形態では、“アップ”腕バイオマーカー及び“ダウン”腕バイオマーカーの部分集合は表10にリストされている。本発明はまた、デレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有する腫瘍を区別するための上記バイオマーカーの使用方法を提供する。] [0041] 別の実施形態では、本発明は、被験者の増殖因子シグナル伝達経路物質に対する応答を予測するために使用され得る101個の遺伝子バイオマーカーの集合を提供する。より具体的な実施形態では、本発明は、被験者の増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質に対する応答を予測するために使用され得る101個の集合から選抜した少なくとも5、10、20、30、40、50、75または100個のバイオマーカーの部分集合を提供する。別の実施形態では、本発明は、癌を有している被験者を治療するための増殖因子経路物質を選択するために使用され得る101個のバイオマーカーの集合を提供する。より具体的な実施形態では、本発明は、癌を有している被験者を治療するための増殖因子経路物質を選択するために使用され得る101個の集合から選抜した少なくとも5、10、20、30、40、50、75または100個のバイオマーカーの部分集合を提供する。或いは、“アップ”腕(表5aを参照されたい)から選抜した少なくとも3、5、10、15、20、25個のバイオマーカーの部分集合及び“ダウン”腕(表5bを参照されたい)から選抜した少なくとも3、5、10、15、20、25個のバイオマーカーの部分集合は被験者の増殖因子シグナル伝達経路物質に対する応答を予測するために、または癌を有している被験者を治療するための増殖因子シグナル伝達経路物質を選択するために使用され得る。特定実施形態では、バイオマーカーの部分集合は表10にリストされている。] [0042] 別の実施形態では、本発明は、物質が増殖因子シグナル伝達経路に対して薬力学的効果を有するかを判定するために使用され得る101個の遺伝子バイオマーカーの集合を提供する。提供されるバイオマーカーは、物質での治療からのいろいろな時点で増殖因子シグナル伝達経路の抑制をモニターするために使用され得る。より具体的な実施形態では、本発明は、物質の増殖因子シグナル伝達経路に対する薬力学的活性をモニターするために使用され得る101個の集合から選抜した少なくとも5、10、20、30、40、50、75または100個のバイオマーカーの部分集合を提供する。或いは、“アップ”腕(表5aを参照されたい)から選抜した少なくとも3、5、10、15、20、25個のバイオマーカーの部分集合及び“ダウン”腕(表5bを参照されたい)からの少なくとも3、5、10、15、20、25個のバイオマーカーの部分集合は物質が増殖因子シグナル伝達経路に対して薬力学的効果を有するかを判定するため、または物質の増殖因子シグナル伝達経路に対する薬力学的活性をモニターするために使用され得る。特定実施形態では、バイオマーカーの部分集合は表10にリストされている。] [0043] 本発明は、その発現がクラスタリング分析により増殖因子シグナル伝達経路デレギュレーションと相関している86個の遺伝子バイオマーカーの代替集合をも提供する。増殖因子シグナル伝達経路のレギュレーション状態に従って腫瘍を分類するために、被験者の増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする化合物に対する応答を予測するために、または治療薬の増殖因子シグナル伝達経路に対する薬力学的効果を判定するために有用であると同定されたこれらのバイオマーカーは配列番号201、203、205、207、209、211、213、215、217、219、221、223、225、227、229、231、233、235、237、239、241、243、245、247、249、251、253、255、257、259、261、263、265、267、269、271、273、275、277、279、281、283、285、287、289、291、293、295、297、299、301、303、305、307、309、311、313、315、317、319、321、323、325、327、329、331、333、335、337、339、341、343、345、347、349、351、353、355、357、359、361、363、365、367、369及び371としてリストされている(表11も参照されたい)。本発明の別の態様は、診断する際に腫瘍型を区別するため、または治療薬に対する応答を予測するための上記バイオマーカーの使用方法を提供する。本発明の1つの実施形態では、86個のバイオマーカー集合は2つの対立する“腕”、すなわち増殖因子経路を介するシグナル伝達が増加するにつれてアップレギュレートされる遺伝子である44個の遺伝子を含む“アップ”腕(表11を参照されたい)及びダウンレギュレートされる遺伝子である42個の遺伝子を含む“ダウン”腕(表11を参照されたい)に分けられ得る。本発明はまた、各種実施形態で使用され得る86個の集合から選抜した少なくとも5、10、20、30、40、50または75個のバイオマーカーの部分集合を提供する。或いは、“アップ”腕(表11を参照されたい)から選抜した少なくとも3、5、10、15、20、25、30または35個のバイオマーカーの部分集合及び“ダウン”腕(表11を参照されたい)から選抜した少なくとも3、5、10、15、20、25、30または35個のバイオマーカーの部分集合を提供する。] [0044] 更には、本発明は、その発現がクラスタリング分析により解糖経路活性に相関している39個のバイオマーカーの集合を提供する。解糖経路の活性に従って腫瘍を分類するために、癌患者の解糖経路をモジュレートする化合物に対する応答を予測するために、または治療薬の解糖経路に対する薬力学的効果を判定するために有用であると同定されたこれらのバイオマーカーは配列番号373、375、377、379、381、383、385、387、389、391、221、393、395、397、399、401、403、405、407、409、411、413、253、415、417、419、421、423、425、427、429、431、433、435、437、439、441、443、445としてリストされている(表13も参照されたい)。本発明の別の態様は、診断する際に腫瘍型を区別するため、または治療薬に対する応答を予測するための上記バイオマーカーの使用方法を提供する。本発明はまた、各種実施形態で使用され得る39個の集合から選抜した少なくとも5、10、20、30または35個のバイオマーカーの部分集合を提供する。] [0045] 上で提供されたバイオマーカーの集合は、特に単独でまたは当該集合の範囲外のバイオマーカーと組み合わせて使用され得る。例えば、増殖因子シグナル伝達経路レギュレーション状態を区別するバイオマーカーは、p53機能状態を区別するバイオマーカー(Andrey Lobodaらにより2008年3月22日に出願されたU.S.仮出願61/070,259,“Gene Expression Signature for Assessing p53 Pathway Functional Status”を参照されたい)と一緒に使用され得る。上で提供されたバイオマーカー集合は癌、或いは他の臨床または生理学的状態のための他のバイオマーカーと一緒に使用され得る。] [0046] 3.3.2バイオマーカーの同定 本発明は、癌に関連する状態または兆候を同定するためのバイオマーカーの集合を提供する。通常、バイオマーカー集合は〜44,000個のヒトバイオマーカーのいずれかが状態または兆候に相関する発現パターンを有しているかを調べることにより同定した。] [0047] 1つの実施形態では、バイオマーカー集合を同定するための方法は以下の通りである。標的ポリヌクレオチドを抽出し、標識した後、サンプルX中のすべてのバイオマーカー(遺伝子)の発現を標準または対照中のすべてのバイオマーカーの発現と比較する。1つの実施形態では、標準または対照は正常個体(すなわち、増殖因子経路デレギュレーションを有していない個体)からのサンプルに由来する標的ポリヌクレオチドを含む。或いは、標準または対照は腫瘍に隣接する正常組織または増殖因子経路デレギュレーションを有していない腫瘍由来のポリヌクレオチドを含む。好ましい実施形態では、標準または対照は標的ポリヌクレオチド分子のプールである。前記プールは多数の正常個体からの採取サンプルに由来し得る。別の実施形態では、前記プールは増殖因子経路デレギュレーションを有していない腫瘍を有する多数の個体から採取したサンプルからなる。別の好ましい実施形態では、前記プールは腫瘍サンプルからのバイオマーカー由来核酸のプール中に存在する各バイオマーカーに由来する核酸のレベルに近づくように設計された核酸の人工的に作成した集団からなる。更に別の実施形態では、前記プールは正常または癌細胞株または細胞株サンプルに由来する。] [0048] 比較は当業界で公知の手段により実施され得る。例えば、各種バイオマーカーの発現レベルは、アガロースまたはポリアクリルアミドゲルを用いてバイオマーカー由来の標的ポリヌクレオチド分子(例えば、RNAまたはcDNA)を分離した後、バイオマーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズすることにより評価され得る。或いは、比較は標的ポリヌクレオチド分子を標識した後配列決定ゲルを用いて分離することにより実施され得る。患者及び対照または標準ポリヌクレオチドが隣接レーンにあるようにポリヌクレオチドサンプルをゲル上に配置する。発現レベルは肉眼でまたはデンシトメーターを用いて比較される。好ましい実施形態では、すべてのバイオマーカーの発現がマイクロアレイへのハイブリダイゼーションにより同時に評価される。各アプローチで、特定基準に適合するバイオマーカーを増殖因子シグナル伝達経路デレギュレーションを有する腫瘍に関連するとして同定する。] [0049] バイオマーカーは、標準または対照状態と比較したサンプル中の発現の有意な差に基づいて選択される。選択は、患者サンプル中のバイオマーカーが有意にアップまたはダウンレギュレーションされているかに基づいてなされ得る。選択は、バイオマーカーと状態または兆候の発現間の相関の統計上の有意差(すなわち、p値)を計算することによってもなされ得る。好ましくは、両方の選択基準を使用する。よって、本発明の1つの実施形態では、標準と比較して発現の2倍以上の変化(上昇または低下)を示し、増殖因子シグナル伝達経路デレギュレーションの存在とバイオマーカー発現の変化の相関についてのp値が0.01以下である(すなわち、統計上有意である)腫瘍中のデレギュレーション増殖因子シグナル伝達経路に関連するバイオマーカーを選抜する。] [0050] 複数のN個の癌腫瘍サンプル中の複数の異なる遺伝子からなる発現プロファイルは、異なる臨床カテゴリーに相関し、従って異なる臨床カテゴリーを判別するために有用であるマーカーを同定するために使用され得る。具体的実施形態では、N個の腫瘍サンプル中の臨床カテゴリーまたは臨床パラメーター(例えば、レギュレートまたはデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路)を表すベクトル とN個の腫瘍サンプル中の遺伝子の測定した発現レベルを表すベクトル の相関係数ρを遺伝子の発現レベルと増殖因子シグナル伝達経路状態間の相関度として使用する。発現レベルは遺伝子の転写物の測定したアバンタンスレベルまたは測定したアバンダンスの変換、例えば対数、すなわちlog比であり得る。具体的には、相関係数は として計算される。] [0051] 相関係数がカットオフを超えるバイオマーカーは、所与の患者部分集合内の特定の臨床カテゴリー(例えば、デレギュレートされている増殖因子経路シグナル伝達状態)に特異的な増殖因子経路シグナル伝達状態の情報を与えるバイオマーカーとして同定される。前記カットオフまたは閾値は得られた判別遺伝子の集合のある有意性に対応し得る。閾値は使用するサンプル数に基づいても選択され得る。例えば、閾値は (式中、 は分布幅であり、nはサンプル数である) として計算される。具体的実施形態では、相関係数が約0.3以上または約−0.3未満ならばマーカーを選択する。] [0052] 次に、バイオマーカー遺伝子の集合の有意性が評価され得る。有意性は適当な統計方法により計算され得る。具体例では、複数の患者の発現プロファイルと臨床カテゴリー間の関係をランダム化して、ランダム化したデータセットを作成するためにモンテカルロ法を使用する。バイオマーカー集合を選択するために使用したのと同一のバイオマーカー選択手順をランダム化データに適用して、対照バイオマーカー集合を得る。複数の前記ランを実施して、対照バイオマーカー集合中の遺伝子の数の確率分布を作成する。好ましい実施形態では、前記ランを10,000回実施する。確率分布から、発現レベルと表現型間の相関(すなわち、ランダム化データに基づいて)が予想されないときには所与の数のバイオマーカーから構成されるバイオマーカー集合を見つける確率が決定され得る。実際のデータから得たバイオマーカー集合の有意性は、ランダム化データを用いて同一数のバイオマーカーから構成される対照バイオマーカー集合を得る確率を比較することによりバイオマーカー集合中のバイオマーカーの数に基づいて評価され得る。1つの実施形態では、ランダム化データを用いて同一数のバイオマーカーから構成される対照バイオマーカーを得る確率が所与の確率閾値を下回るならば、バイオマーカー集合は有意であると言える。] [0053] バイオマーカー集合が同定されたら、バイオマーカーは判別の相関または有意性の順に順位付けされ得る。1つの順位付け手段はバイオマーカーの遺伝子発現の変化と判別しようとする具体的状態の相関の大きさによる。別の好ましい手段は統計メトリックを使用することである。具体的実施形態では、メトリックはt検定様統計量である。 上記数式中、<x1>は第1臨床群(例えば、デレギュレートされている増殖因子経路シグナル伝達)内の転写物発現測定値のlog比の誤差加重平均であり、<x2>は第2の関連する臨床群(例えば、レギュレートされている増殖因子経路シグナル伝達)内のlog比の誤差加重平均であり、σ1は第1臨床群(例えば、デレギュレートされている増殖因子経路シグナル伝達)内のlog比の分散であり、n1はlog比の正当な測定値が有効なサンプル数であり、σ2は第2臨床群(例えば、レギュレートされている増殖因子経路シグナル伝達)内のlog比の分散であり、n2はlog比の正当な測定値が有効なサンプル数である。t値は2つの平均間の分散補償差を表す。順位付けしたバイオマーカー集合は判別のために使用される集合中のバイオマーカーの数を最適とするために使用され得る。] [0054] 増殖因子経路シグナル伝達状態に対する遺伝子の集合は反復アプローチを用いても同定され得る。これは、通常以下の“1個抜き(leave one out)”方法を用いて実施される。第1ランで、順位付けしたリストのトップからのバイオマーカーの部分集合(例えば、5個)をテンプレートを作成するために使用する。ここでは、N個のサンプルからテンプレートを作成するためにN−1個を使用し、残りのサンプルの状態を予測する。このプロセスをN個のサンプルが1個ずつ1回予測されるまでサンプル毎に繰り返す。第2ランでは、テンプレートが10個のバイオマーカーから作成されるように1つ以上の追加のバイオマーカー(例えば、5個の追加バイオマーカー)を添加し、残りのサンプルの出力を予測する。このプロセスを、バイオマーカーのすべての集合がテンプレートを作成するために使用されるまで繰り返す。各ラン毎に、タイプ1エラー(偽陰性)及びタイプ2エラー(偽陽性)をカウントする。最低のタイプ1エラー率またはタイプ2エラー率、好ましくはタイプ1エラー率及びタイプ2エラー率の合計に相当するトップに順位付けされたバイオマーカーの集合を選択する。] [0055] 増殖因子経路シグナル伝達状態バイオマーカーについて、マーカー集合の確認は追加の統計量、生存モデルにより実施され得る。この統計量から最初の診断以降の時間の関数としての腫瘍の遠隔転移の確率が得られる。ワイブル、正規、対数正規、対数ロジスティック、対数指数またはlog−Rayleigh(Chapter 12“Life Testing”,S−PLUS 2000GUIDE TO STATISTICS,Vol.2,p.368(2000))を含めた多数のモデルが使用され得る。「正常」モデルの場合、時間tでの遠隔転移Pの確率は (式中、αは一定で1に等しく、τは適合されるパラメーターであり、「予測寿命」を判定する) として計算される。] [0056] バイオマーカー選択または順位付けから(すなわち、相関の計算から)1つ以上のサンプルを除外することにより上記バイオマーカー同定プロセスを2回以上反復することが好ましい。除外されるサンプルは以前の反復から正しく予想され得ないものである。好ましくは、この反復プロセスにおいてバイオマーカー選択から除外されたサンプルを性能を誇張して述べるのを避けるために分類子性能評価に含める。] [0057] 増殖因子経路シグナル伝達状態についての遺伝子の集合が同定されたら、バイオマーカーを2つの対立する“腕”、すなわち増殖因子経路を介するシグナル伝達が増加するにつれてアップレギュレートされる遺伝子である“アップ”腕(表5aまたは表11を参照されたい)及びダウンレギュレートされる遺伝子である“ダウン”腕(表5bまたは表11を参照されたい)に分けられ得る。] [0058] 先に記載した上記方法、特に統計的方法が増殖因子シグナル伝達経路レギュレーション状態に関連するバイオマーカーの同定に限らず、表現型に関連するバイオマーカー遺伝子の集合を同定するために使用され得ることは当業者に自明である。表現型は癌のような疾患の存在または不在、或いは癌に関連する同定する臨床状態の存在または不在であり得る。例えば、先に記載した方法は解糖経路活性に関連するバイオマーカーを同定するために使用され得る。病気の関連で、表現型は生存期間、病的状態の遠隔転移の見込み、或いは治療または予防レジメンに対する具体的応答の可能性のような予後であり得る。表現型は癌または疾患である必要はない。表現型は健康な個人に関連する名目上の特徴であり得る。] [0059] 3.3.3サンプル採取 本発明において、標的ポリヌクレオチド分子を典型的にはそれぞれ癌または腫瘍細胞株に侵されている個体及び対応する正常/対照組織または細胞株から採取したサンプルから抽出する。サンプルは臨床的に許容され得る方法で採取され得るが、バイオマーカー由来ポリヌクレオチド(すなわち、RNA)が保存されるように採取されなければならない。mRNAまたはこれに由来する核酸(すなわち、cDNAまたは増幅DNA)を標準または対照ポリヌクレオチド分子から区別できるように標識することが好ましく、両方をバイオマーカーの一部または全部、或いは上記したバイオマーカー集合または部分集合を含むマイクロアレイに同時にまたは独立してハイブリダイズする。或いは、mRNAまたは底に由来する核酸を標準または対照ポリヌクレオチド分子と同一の標識で標識してもよく、この場合特定のプローブでの各々のハイブリダイゼーションの強度を比較する。サンプルは臨床的に関連する組織サンプル(例えば、腫瘍生検または細針吸引物)または体液(例えば、血液、血漿、血清、リンパ、腹水、嚢胞液、尿)のサンプルからなり得る。サンプルはヒトから、或いは獣医学的関係では非ヒト動物(例えば、反芻動物、ウマ、ブタまたはヒツジ)または家庭愛玩動物(例えば、ネコ及びイヌ)から採取され得る。加えて、サンプルは凍結または保管されているホルマリン固定またはパラフィン包埋(FFPE)組織サンプルに由来してもよい。] [0060] 全及びポリ(A)+RNAの作成方法は公知であり、一般的にSambrookら,MOLECULAR CLONING−A LABORATORYMANUAL(2ND ED.),Vols.1−3,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))及びAusubelら,CURRENTPROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,Vol.2,Current Protocols Publishing,New York(1994))に記載されている。] [0061] RNAは真核細胞を溶解し、そこに含まれているタンパク質を変性することを含む手順により真核細胞から単離され得る。当該細胞には野生型細胞(すなわち、非癌性)、薬物暴露野生型細胞、腫瘍または腫瘍由来細胞、修飾細胞、正常または腫瘍細胞株細胞及び薬物暴露修飾細胞が含まれる。] [0062] DNAを除去するために追加ステップが使用され得る。非イオン性洗剤を用いて細胞溶解した後、微量遠心して、核、よって大量の細胞DNAも除去し得る。1つの実施形態では、RNAを問題の各種型の細胞からチオシアン酸グアニジン溶解を用いて抽出した後、CsCl遠心して、RNAをDNAから分離する(Chirgwinら,Biochemistry,18:5294−5299(1979))。ポリ(A)+RNAはオリゴ−dTセルロースを用いる選択により選択される(Sambrookら,MOLECULAR CLONING−A LABORATORYMANUAL(2ND ED.),Vols.1−3,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)を参照されたい)。或いは、RNAは有機抽出、例えば熱フェノールまたはフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを用いる有機抽出によりDNAから分離され得る。] [0063] 所望により、RNアーゼインヒビターを溶解バッファーに添加してもよい。また、特定の細胞型の場合、プロトコルにタンパク質変性/消化ステップを加えることが望ましいことがある。] [0064] 多くの用途の場合、他の細胞RNA(例えば、転移RNA(tRNA)及びリボソームRNA(rRNA))に対してmRNAを優先的に濃縮させることが望ましい。多くのmRNAはその3’末端にポリ(A)テールを含んでいる。これにより、mRNAは例えば固体支持体(例えば、セルロースまたはセファデックス(登録商標))にカップリングさせたオリゴ(dT)またはポリ(U)を用いるアフィニティークロマトグラフィーにより濃縮され得る(Ausubelら,CURRENTPROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,Vol.2,Current Protocols Publishing,New York(1994)を参照されたい)。結合させたら、ポリ(A)+mRNAをアフィニティーカラムから2mMEDTA/0.1% SDSを用いて溶離させる。] [0065] RNAのサンプルは、各々の異なるmRNA分子が異なるヌクレオチド配列を有している複数の異なるmRNA分子を含み得る。具体的実施形態では、RNAサンプル中のmRNA分子は少なくとも100個の異なるヌクレオチド配列を含む。より好ましくは、RNAサンプル中のmRNA分子はバイオマーカー遺伝子の各々に対応するmRNA分子からなる。別の具体的実施形態では、RNAサンプルは哺乳動物RNAサンプルである。] [0066] 具体的実施形態では、細胞由来の全RNAまたはmRNAを本発明の方法において使用する。RNAの起源は植物または動物、ヒト、哺乳動物、霊長類、非ヒト動物、イヌ、ネコ、マウス、ラット、鳥、酵母、真核、原核等の細胞であり得る。具体的実施形態では、本発明の方法は1×106個以下の細胞の全mRNAまたは全RNAを含むサンプルを用いて使用される。別の実施形態では、タンパク質はタンパク質レベルでの発現分析において使用するために当業界で公知の方法を用いて前記源から単離され得る。] [0067] 非ヒト核酸をアッセイする場合には本明細書に開示されているバイオマーカー配列のホモログに対するプローブが好ましく使用され得る。] [0068] 3.4増殖因子シグナル伝達経路デレギュレーションバイオマーカー集合の使用方法 3.4.1診断/腫瘍分類方法 本発明は、腫瘍がデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているかを個体の腫瘍型を分子レベルで決定または分類すべく個体からのサンプルを分析するためのバイオマーカー集合の使用方法を提供する。個体が実際に癌に侵されている必要はない。本質的に、個体または個体から採取したサンプル中の特定のバイオマーカー遺伝子の発現を標準または対照と比較する。例えば、2つの癌関連状態X及びYを仮定する。個体中の状態Xについて増殖因子シグナル伝達経路バイオマーカーの発現レベルを対照中のバイオマーカー由来ポリヌクレオチドのレベルと比較することができ、前記レベルは状態Xを有するサンプルが表す発現レベルに相当する。この場合、個体サンプル中のマーカーの発現が対照の発現とは実質的に(すなわち、統計上)異なるならば、個体は状態Xを有していない。選択がバイモデル(すなわち、サンプルはXまたはYのいずれかである)ならば、個体は追加的に状態Yを有していると言うことができる。勿論、状態Yに相当する対照と比較することもできる。好ましくは、各対照がポジティブ及びネガティブ対照の両方として働くように両方を同時に実施する。よって、鑑別結果は対照が表す発現レベル(すなわち、マーカー由来RNAまたはそこに由来するポリヌクレオチドの量)との明白な差であるか、または有意差なしであり得る。] [0069] 従って、1つの実施形態では、個体の特定の腫瘍関連状態の確認方法は、(1)個体由来の標識標的ポリヌクレオチドを上記バイオマーカー集合またはバイオマーカーの部分集合を含むマイクロアレイにハイブリダイズするステップ;(2)標的分子由来の差次的に標識されている標準または対照ポリヌクレオチド分子をマイクロアレイにハイブリダイズするステップ;及び(3)標的及び標準または対照間の転写物レベルの差またはその差のないことを調べて、差の有無から個体の腫瘍関連状態を確認するステップを含む。より具体的実施形態では、標準または対照分子は正常個体からのサンプルのプール、正常隣接組織からのサンプルのプール、または癌を有している個体からの腫瘍サンプルのプールに由来するバイオマーカー由来ポリヌクレオチドを含む。好ましい実施形態では、標準または対照は、特定の臨床兆候(すなわち癌性または非癌性;レギュレートされているまたはデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路)を有している正常または癌腫瘍組織の臨床サンプルが表すバイオマーカー発現のレベルに似せるように設計されている人工的に作成したバイオマーカー由来ポリヌクレオチドのプールである。別の具体的実施形態では、対照分子は正常または癌細胞株由来のプールからなる。] [0070] 本発明は、デレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路腫瘍型をレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路腫瘍型から区別するために有用なバイオマーカーの集合を提供する。よって、上記方法の1つの実施形態では、個体由来のサンプル中の、表5a及び5b中に挙げられているバイオマーカーから発現されたポリヌクレオチド(すなわち、mRNAまたはそこに由来するポリヌクレオチド)のレベルを対照由来の同一バイオマーカーの発現のレベルと比較し、前記対照はデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路腫瘍サンプル及び/またはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路腫瘍サンプル由来のバイオマーカー関連ポリヌクレオチドを含む。比較はデレギュレート及びレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路腫瘍サンプルの両方に対してなされ得、比較はそれぞれ多数のデレギュレート及びレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路腫瘍サンプル由来のポリヌクレオチドプールに対してなされ得る。個体のバイオマーカー発現がデレギュレートされている対照に最も密接に類似または相関しており、レギュレートされている対照に類似または相関していないならば、個体はデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有していると分類される。プールが純粋なデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路型腫瘍サンプルでない場合、例えば散在性プールを使用した場合、公知の増殖因子シグナル伝達経路状態を有する個体を用いる実験の組をプールに対してハイブリダイズして、デレギュレート及びレギュレートされている群の発現テンプレートを規定する。未知の増殖因子シグナル伝達経路状態を有する各個体を同一プールに対してハイブリダイズし、発現プロファイルをテンプレートと比較して、個体の増殖因子シグナル伝達経路状態を確認する。] [0071] 別の具体的実施形態では、上記方法は、 (i)第1発現プロファイルとデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレート間の類似度を計算し、或いは第1発現プロファイルとデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレート間の第1の類似度及び第1発現プロファイルとレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレート間の第2の類似度を計算し、前記した第1発現プロファイルは腫瘍細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の発現レベルからなり、前記したデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートは異常活性を有する増殖因子シグナル伝達経路の成分を少なくとも1つ以上有する複数の腫瘍細胞サンプル中のそれぞれの遺伝子の平均発現レベルである第1の複数の遺伝子の発現レベルからなり、前記したレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートは異常活性を有する増殖因子シグナル伝達経路の成分を少なくとも1つ以上有していない複数の腫瘍細胞サンプル中のそれぞれの遺伝子の平均発現レベルである第1の複数の遺伝子の発現レベルからなり、第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表5a及びbにリストされている少なくとも5個の遺伝子から構成されており; (ii)第1発現プロファイルがデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して高い類似性を有しているかまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートよりもデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対してより高い類似性を有しているならば腫瘍細胞サンプルをデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し、或いは第1発現プロファイルがデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して低い類似性を有しているかまたはデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートよりもレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対してより高い類似性を有しているならば腫瘍細胞サンプルをレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し、デレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を超えているならば前記した第1発現プロファイルはデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して高い類似性を有し、デレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を下回るならば前記した第1発現プロファイルはデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して低い類似性を有しており; (iii)分類ステップ(ii)により得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させることを含む。] [0072] 上記した実施形態では、バイオマーカーの全体集合(すなわち、表5a及び5bのバイオマーカーの完全な集合)を使用し得る。他の実施形態では、101個のバイオマーカーの部分集合を使用し得、或いはバイオマーカーの“アップ”(表5a)及び“ダウン”腕(表5b)の部分集合を使用し得る。或いは、表11からのバイオマーカーの全体集合を使用し得、或いは86個のバイオマーカーの部分集合を使用し得、またはバイオマーカーの“アップ”及び“ダウン”腕(表11)の部分集合を使用し得る。] [0073] 別の実施形態では、発現プロファイルは対照サンプル中の複数の遺伝子の測定値に対する患者由来のサンプル中の前記した複数の遺伝子の差次的測定値を含む差次的発現プロファイルである。差次的測定値はxdev、log(比)、誤差加重log(比)または平均減法したlog(強度)(例えば、各々全文参照により本明細書に組み入れる2000年7月6日に公開されたPCT公開WO00/39339及び2004年8月5日に公開されたPCT公開WO2004/065545を参照されたい)であり得る。] [0074] サンプルまたは個体のバイオマーカー発現プロファイルと対照のバイオマーカー発現プロファイル間の類似性は当業界で公知の任意の方法を用いていろいろな方法で評価され得る。例えば、Daiらは乳癌患者を分類する際に有用な遺伝子発現テンプレート及び対応するバイオマーカー遺伝子集合を計算する多数の各種方法を記載している(US7,171,311、WO2002/103320、WO2005/086891、WO2006015312、WO2006/084272)。また、Linsleyら(US2003/0104426)及びRadishら(US20070154931)は慢性骨髄性白血病患者を分類する際に有用な遺伝子バイオマーカー遺伝子集合及び遺伝子発現テンプレートの計算方法を開示している。最も単純な場合、プロファイルを発現差データのプリントアウトを用いて肉眼で比較することができる。或いは、類似性は数学的に計算することができる。] [0075] 1つの実施形態では、2人の患者(またはサンプル)x及びy間、或いは患者(またはサンプル)xとテンプレートy間の類似度は以下の方程式を用いて計算することができる: この方程式中、x及びyはlog比xi及びyi、i=1、2,…、N=4,986のコンポーネントを有する2人の患者である。すべてのxiが誤差σxiを伴っている。値σxiが小さいほど、測定値xiはより高い信頼性である。 は誤差加重算術平均である。] [0076] 1つの実施形態では、類似性は患者またはサンプルプロファイルとテンプレート間の相関係数により表される。1つの実施形態では、相関閾値を超える相関係数は高い類似性を示し、閾値を下回る相関係数は低い類似性を示す。幾つかの実施形態では、相関閾値は0.3、0.4、0.5または0.6として設定されている。別の実施形態では、サンプルまたは患者プロファイルとテンプレート間の類似性はサンプルプロファイルとテンプレート間の距離で表される。1つの実施形態では、所与の値を下回る距離は高い類似性を示し、所与の値以上の距離は低い類似性を示す。] [0077] 好ましい実施形態では、テンプレートをサンプル比較のために開発する。テンプレートは、バイオマーカー遺伝子の群が特定の増殖因子シグナル伝達経路レギュレーション状態を区別することができるように発現差の誤差加重log比平均として定義され得る。例えば、テンプレートはデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路サンプル及びレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路サンプルに対して定義される。次いで、分類子パラメーターを計算する。このパラメーターはサンプルとテンプレート間の発現レベル差を用いて、または相関係数を計算することにより計算され得る。前記係数Piは以下の方程式を用いて計算され得る: ここで、i=1及び2である。] [0078] 説明として、1つの実施形態では、1つの表現型エンドポイント、例えば増殖因子シグナル伝達経路デレギュレート状態に基づいてサンプルを分類するためのテンプレートは (例として、例えば増殖因子シグナル伝達経路レギュレーション状態に関連する相関値C1からなるプロファイル)として定義され、及び/または第2の表現型エンドポイント、すなわち増殖因子シグナル伝達経路レギュレート状態のためのテンプレートは (例として、例えば増殖因子シグナル伝達経路レギュレーション状態に関連する相関値C2からなるプロファイル)として定義される。その後、2つの分類子パラメーター(P1及びP2)の1つまたは両方がサンプルのプロファイルとテンプレート間の類似度を調べるために使用され得る。P1はサンプルのプロファイル と第1発現テンプレート 間の類似性を判定し、P2は と第2発現テンプレート 間の類似性を判定する。] [0079] よって、1つの実施形態では、P1が選択した相関閾値よりも大きいかまたはP2が選択した相関閾値以下であるならば、 は例えばデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路プロファイルとして分類される。別の実施形態では、P1が選択した相関閾値未満であるかまたはP2が選択した相関閾値を上回るならば、 は例えばレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路プロファイルとして分類される。更に別の実施形態では、P1が第1の選択した相関閾値よりも大きいならば は例えばデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路プロファイルとして分類され、P2が第2の選択した相関閾値よりも大きいならば は例えばレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路プロファイルとして分類される。] [0080] よって、より具体的実施形態では、個体の特定の腫瘍関連状態を確認する上記方法は、(1)個体由来の標識標的ポリヌクレオチドを上記マーカー集合の1つを含むマイクロアレイにハイブリダイズするステップ;(2)標的分子由来の差次的に標識されている標準または対照ポリヌクレオチド分子をマイクロアレイにハイブリダイズするステップ;(3)2つのチャネル(個体及び対照)間の転写物レベルの比(または、差)、または単に個体の転写物レベルを測定するステップ;及び(4)(3)からの結果を予め定義したテンプレートと比較するステップを含み、この測定は当業界で公知の手段(セクション3.4,6の発現プロファイルの分類方法を参照されたい)により実施され、差の有無により個体の腫瘍関連状態を確認する。] [0081] 方法は表5a及び5bにリストされているバイオマーカーの完全集合を使用し得る。しかしながら、101個のバイオマーカーの部分集合、またはバイオマーカーの“アップ”(表5a)または“ダウン”(表5b)腕を使用してもよい。或いは、表11からのバイオマーカーの全体集合を使用しても、86個のバイオマーカーの部分集合を使用しても、またはバイオマーカーの“アップ”及び“ダウン”腕(表11)の部分集合を使用し得る。] [0082] 別の実施形態では、個体の増殖因子経路レギュレーション状態を確認する上記方法は101個のバイオマーカーの2つの“腕”を使用する。“アップ”腕はその発現が増殖因子経路活性化に伴ってアップする63個の遺伝子(表5aを参照されたい)を含み、“ダウン”腕はその発現が増殖因子経路活性化に伴ってダウンする38個の遺伝子(表5bを参照されたい)を含む。或いは、増殖因子経路レギュレーション状態を確認する上記方法は表11にリストされている86個のバイオマーカーの2つの“腕”、すなわち44個の遺伝子(表11を参照されたい)を含む“アップ”腕及び42個の遺伝子(表11を参照されたい)を含む“ダウン”腕を使用する。個体サンプルを標準または対照と比較する場合、サンプル中の遺伝子Xの発現値を標準または対照中の遺伝子Xの発現値と比較する。バイオマーカーの集合中の各遺伝子毎に、標準または対照に対する個体サンプル中の発現値(差次的発現値)のlog(10)比を求める。サイン“スコア”は、“アップ”中の遺伝子の平均log(10)比を測定した後、“ダウン”腕中の遺伝子の平均log(10)比を減ずることにより計算する。このサインスコアが有意であるかを確認するために、2つの対立する腕中の遺伝子の発現値を相互に比較するANOVA計算(例えば、両側t検定、ウィルコクソン順位和検定、コルモゴルフ−スミルノフ検定等)を実施する。例えば、“アップ”腕中の遺伝子の平均log(10)比が“ダウン”腕中の遺伝子の平均log(10)比と明らかに異なるかを確認するために両側t検定を使用する場合、<0.05のp値は個体サンプル中のサインが標準または対照とは明らかに異なることを示している。サンプルのサインスコアが所定閾値を超えているならば、サンプルは増殖因子シグナル伝達経路のデレギュレーションを有していると見なされる。所定閾値は0であり得、またはサンプルの集合、または標準または対照として使用されるプールしたサンプルのサインスコアの平均、メジアンまたはパーセント点であり得る。代替実施形態では、表5aからの63個の“アップ”遺伝子の少なくとも3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55及び60個の部分集合及び表5bからの38個の“ダウン”遺伝子の少なくとも3、5、10、15、20、25、30及び35個の部分集合をこのサインスコアを計算するために使用してもよい。或いは、表11からの44個の“アップ”遺伝子の部分集合及び42個の“ダウン”遺伝子の部分集合をサインスコアを計算するために使用してもよい。更に別の実施形態では、表8bからの遺伝子をサインスコアを計算するために使用してもよい。値がバイオマーカーの遺伝子の転写物アバンダンスの客観的測定値を表す限り、log(10)比以外の他の差次的発現値をサインスコアを計算するために使用し得ることを当業者は認識しているであろう。その例にはxdev、誤差加重log(比)及び平均減法log(強度)が含まれるが、これらに限定されない。] [0083] バイオマーカー集合を使用する上記方法は、表13にリストされているバイオマーカーの集合を用いてサンプルが活性化解糖経路を有しているかサンプルを分子レベルで決定または分類すべく個体由来のサンプルを分析するためにも使用され得る。表13中の39個のバイオマーカーの全体集合または部分集合を使用してもよい。解糖サインの場合、すべての遺伝子が同一方向でレギュレートされており、相関している。従って、このサインは1つの分枝のみから構成される。] [0084] バイオマーカー集合を使用する上記方法は、個体由来のサンプルを分析した後、その増殖因子経路デレギュレーション状態に従ってサンプルを順位付けするためにも使用され得る。サンプルを順位を決定するために基準サンプルと比較してもよい。順位を決めるために、サンプルを所定閾値、例えば基準サンプルに対するバイオマーカー集合または部分集合の平均発現値と比較する。基準サンプルは“デレギュレートされている”または“レギュレートされている”増殖因子シグナル伝達経路サンプルであり得る。サンプルをサンプルのプールと比較し、このサンプルのプールの所定閾値、例えばバイオマーカー集合または部分集合の平均、メジアンまたはパーセント点発現値と比較することにより順位付けてもよい。サンプルをそのサインスコアに従って順位付けてもよい。] [0085] 3.4.2治療に対する応答を予測し、治療を割り当てる方法 本発明は、増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質での治療に応答すると予測される患者からのサンプルを増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質での治療に応答すると予測されない患者から区別するために有用なバイオマーカーの集合を提供する。よって、本発明は、更に癌を有している個人が増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質での治療に対して予測される応答者であるかを判定するために上記バイオマーカーを使用するための方法を提供する。1つの実施形態では、本発明は、癌患者の増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質に対する応答を予測する方法を提供し、その方法は、(1)個体から採取したサンプル中の表5a及び5bにリストされているバイオマーカーの発現のレベルをサンプル中でデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達を有することが分かっているレベルに相当する標準または対照中の同一バイオマーカーの発現のレベルと比較し;(2)個体からのサンプル中のバイオマーカー関連ポリヌクレオチドのレベルが対照のレベルと有意に異なっているかを調べることを含み、実質的な差が見られないならば患者は増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質での治療に対して応答すると予想され、実質的な差が見られたならば患者は増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質での治療に応答しないと予想される。当業者は、標準または対照レベルがレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有する腫瘍サンプルに由来し得ることが容易に分かるであろう。より具体的実施形態では、両方の対照を流す。プールが純粋な“レギュレートされている増殖因子”または“デレギュレートされている増殖因子”でない場合、公知の応答者状態を有する個体の実験の組を前記プールに対してハイブリダイズして、予測される応答者及び予測される非応答者群に対する発現テンプレートを規定しなければならない。未知の出力を有する各個体を同一のプールにハイブリダイズし、生じた発現プロファイルをテンプレートと比較してその出力を予測する。] [0086] 腫瘍の増殖因子シグナル伝達経路デレギュレーション状態は、増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質での治療に応答するが、有糸分裂抑制剤に応答しない被験者を示し得る。従って、本発明は、表5a及び5bの101個のバイオマーカーまたはその部分集合の発現のレベルがデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路状態またはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路状態に相当するサンプル中の前記バイオマーカーのレベルと相関しているかを調べ;治療方針を決定または割り当てることを含む癌患者の治療方針を決定または割り当てる方法を提供し、発現がデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路状態パターンに相関しているならば腫瘍は増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質で治療され、有糸分裂抑制剤タイプの癌物質で治療されない。] [0087] 診断バイオマーカーの場合のように、上記方法は表5a及び5bにリストされているバイオマーカーの完全集合を使用し得る。しかしながら、101個のバイオマーカーの部分集合を使用してもよい。別の実施形態では、被験者の増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質に対する応答を予測したり、被験者に治療を割り当てるために101個の集合から選抜した少なくとも5、10、20、30、40、50、75または100個のバイオマーカーの部分集合を使用してもよい。或いは、表11からのバイオマーカーの全体集合を使用しても、86個のバイオマーカーの少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70または75個の部分集合を使用しても、またはバイオマーカーの“アップ”及び“ダウン”腕(表11)の部分集合を使用してもよい。] [0088] サンプルを“予測される応答者”または“予測される非応答者”として分類することは上記した診断バイオマーカーと実質的に同様に実施し、テンプレートはサンプル中のいずれかのバイオマーカー発現レベルを比較するために作成する。] [0089] 別の実施形態では、個体の治療応答を予測したり、治療を割り当てるために増殖因子経路レギュレーション状態を使用する上記方法は101個のバイオマーカーの2つの“腕”を使用する。“アップ”腕はその発現が増殖因子経路活性化に伴ってアップする遺伝子(表5aを参照されたい)を含み、“ダウン”腕はその発現が増殖因子経路活性化に伴ってダウンする遺伝子(表5bを参照されたい)を含む。或いは、増殖因子経路レギュレーション状態を確認する上記方法は表11にリストされている86個のバイオマーカーの2つの“腕”、すなわち44個の遺伝子(表11を参照されたい)を含む“アップ”腕及び42個の遺伝子(表11を参照されたい)を含む“ダウン”腕を使用する。個体サンプルを標準または対照と比較する場合、サンプル中の遺伝子Xの発現値を標準または対照中の遺伝子Xの発現値と比較する。バイオマーカーの集合中の各遺伝子毎に、標準または対照と比較した個体サンプル中の発現値についてlog(10)比を得る。サイン“スコア”は、“アップ”中の遺伝子の平均log(10)比を求めた後、“ダウン”腕中の遺伝子の平均log(10)比を減ずることにより計算する。サインスコアが所定閾値を超えているならば、サンプルは増殖因子シグナル伝達経路のデレギュレーションを有していると見なされる。所定閾値は0であり得、または標準または対照として使用したサンプルの集合またはプールしたサンプルのサインスコアの平均、メジアンまたはパーセント点であり得る。サインスコアが有意であるかを調べるために、2つの対立する腕中の遺伝子の発現値を相互に比較するANOVA計算(例えば、両側t検定、ウィルコクソン順位和検定、コルモゴルフ−スミルノフ検定等)を実施する。例えば、“アップ”腕中の遺伝子の平均log(10)比が“ダウン”腕中の遺伝子の平均log(10)比と有意に異なるかを調べるために両側t検定を使用するならば、<0.05のp値は個体サンプル中のサインが標準または対照と有意に異なることを示す。代替実施形態では、表5aからの63個の“アップ”遺伝子の少なくとも3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55及び60個の部分集合及び表5bからの38個の“ダウン”遺伝子の少なくとも3、5、10、15、20、25、30及び35個の部分集合をこのサインスコアを計算するために使用し得る。更に別の実施形態では、表11からの44個の“アップ”遺伝子の少なくとも3、5、10、15、20、25、30、35及び40個の部分集合及び表11からの42個の“ダウン”遺伝子の少なくとも3、5、10、15、20、25、30、35及び40個の部分集合をこのサインスコアを計算するために使用し得る。値がバイオマーカーの遺伝子の転写物アバンダンスの客観的測定値を表す限り、log(10)比以外の他の差次的発現値がサインスコアを計算するために使用され得ることを当業者は認識している。その例にはxdev、誤差加重log(比)及び平均減法log(強度)が含まれるが、これらに限定されない。] [0090] バイオマーカー集合を使用する上記方法は、表13にリストされているバイオマーカーの集合を用いて解糖経路をモジュレートする物質に対する応答を予測すべく個体由来のサンプルを分析するためにも使用され得る。表13中の39個のバイオマーカーの全体集合または部分集合を使用してもよい。] [0091] バイオマーカーの使用は、癌関連状態についての増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質に対する応答の予測に限定されず、遺伝子発現が役割を果たす各種の表現型、或いは臨床的または実験的状態において適用され得る。2つ以上の表現型に対応するバイオマーカーの集合が同定されたら、そのバイオマーカー集合を表現型を区別するために使用し得る。例えば、表現型は癌及び他の病的状態、または他の生理学的状態に関連する臨床状態の診断及び/または予後、増殖因子シグナル伝達経路以外の経路をモジュレートする物質に対する応答の予測であり得、発現レベルデータは特定の生理学的または病的状態に相関する遺伝子の集合から誘導される。] [0092] 3.4.3物質が増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートするかを調べる方法 本発明は、被験者において増殖因子シグナル伝達経路を修飾またはモジュレートすると予測される物質を同定または評価するために有用なパイオマーカーの集合及び前記バイオマーカーの使用方法を提供する。「増殖因子シグナル伝達経路」はまず増殖因子(非限定的に、ヘレグリン、インスリン、IGF、FGF、EGFが含まれる)が受容体チロシンキナーゼ(非限定的に、受容体のERBBファミリーが含まれる)に結合することにより開始する。増殖因子がその対応する受容体に結合すると、受容体ダイマー化、主要チロシン残基のリン酸化、及び受容体の細胞内部分での幾つかのタンパク質の補充が生ずる。次いで、これらのタンパク質はPI3K/AKT、RAS/ERKやJAK/STATシグナル伝達経路のような幾つかの経路を介する細胞内シグナル伝達を開始し、これにより抗アポトーシスタンパク質の活性化及びプロアポトーシスタンパク質の不活性化が生ずる(Henson and Gibson,2006,Cellular Signaling,18:2089−2097において精査されている)。本明細書中、他の方法で特定されていない限り、「増殖因子シグナル伝達経路」は、外部増殖因子の膜チロシンキナーゼ受容体への結合により開始するPI3K/AKTシグナル伝達経路を介するシグナル伝達を指す。] [0093] 「PI3K/AKTシグナル伝達経路」または「AKTシグナル伝達経路」としても公知の「PI3Kシグナル伝達経路」は、増殖因子が受容体チロシンキナーゼに結合することにより活性化される細胞内シグナル伝達経路の1つを指す。活性化すると、PI3Kはホスファチジルイノシトール−4,5−ビスホスホネート(PIP2)をホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリホスフェート(PIP3)にリン酸化し、このプロセスはPTENにより逆転する。PIP3シグナルはキナーゼPDK1を活性化し、後者はキナーゼAKTを活性化する。PI3Kシグナル伝達経路の説明のために図1も参照されたい(PI3K/AKTシグナル伝達カスケードを精査するためにHennessyら,2005,Nat.Rev.Drug Discov.,4:988−1004も参照されたい)。加えて、PI3Kシグナル伝達経路はRAS経路のような他の細胞内シグナル伝達経路によってもモジュレートされ得、その結果増殖因子がその受容体に結合することにより活性化される細胞内シグナル伝達経路内で混線が生ずる。PI3Kシグナル伝達経路には表1にリストされている遺伝子及びそれによりコードされるタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。] 図1 [0094] 増殖因子シグナル伝達経路に影響を及ぼす物質には小分子化合物;タンパク質またはペプチド(抗体を含む);siRNA、shRNAまたはミクロRNA分子;或いは増殖因子シグナル伝達経路または増殖因子シグナル伝達経路と相互作用する他のシグナル伝達経路(例えば、RAS経路)内で機能する1つ以上の遺伝子またはタンパク質をモジュレートする他の物質が含まれる。] [0095] 「増殖因子経路物質」は、PI3K/AKTシグナル伝達腕を介して増殖因子経路シグナル伝達をモジュレートする物質を指す。増殖因子経路インヒビターはPI3K/AKTシグナル伝達腕を介する増殖因子経路シグナル伝達を抑制する。前記インヒビターの分子標的にはPI3K、AKT、mTOR、PDK1、MYC、cMET、FGFR2、及び表1にリストされている遺伝子が含まれ得る。前記物質は当業界で公知であり、その中にはホスファチジルイノシトールエーテルリピドアナログ、アルキルホスホリピドアナログ、アロステリックAKTインヒビター、HSP90インヒビター、アルキルホスホリピドペリホシン、ラパマイシン、RAD001、FTY720、PDK1インヒビター(BX−795、BX−912及びBX−320(Feldmanら,2005,J.Biol.Chem.,280:19867−19874)、7−ヒドロキシスタウロスポリン(Satoら,2002,Oncogene,21:1727−1738)、PI3Kインヒビター(ワートマニン(Wymannら,1996,Mol.Cell.Biol.,16:1722−1733)、LY294002(Wetzker and Rommel,2004,Curr.Pharm.Des.,10:1915−1922)、IC87114(Finan and Thomas,2004,Biochem.Soc.Trans.,32:378−382;WO0181346、WO01372557、US6403588、WO0143266)、及びAKT抗体(Shinら,2005,Cancer Res.,65:2815−2824を参照されたい)が含まれるが、これらに限定されない(AKT経路のインヒビターを精査するためにChengら,Oncogene,2005,24:7482−7492も参照されたい)。増殖因子シグナル伝達経路バイオマーカーを同定し、細分するために使用した実施例セクションにリストされているインヒビター(すなわち、AKT1/2インヒビターL−001154547(’547;3−フェニル−2−(4−{[4−(5−ピリジン−2−イル−1H−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}フェニル)−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;WO2006065601に開示されている)、L−01173931(’931;6−メチル−3−フェニル−2−(4−{[4−(5−ピリジン−2−イル−1H−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ピペリジン−1−イル]−メチル}フェニル)−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;WO2006065601に開示されている)、γ−セクレターゼインヒビター421B(US7,138,400及びWO02/36555)、cMETインヒビターL−0015014(4−(6−フェニル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b][1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノール;US7,122,548も参照されたい)、MK−2461(N−[(2R)−1,4−ジオキサン−2−イルメチル]−N−メチル−N’−[3−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−6]ピリジン−7−イル]スルファミド)及びL−001793225(1−[3−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンスルホンアミドも増殖因子経路物質の例である。] [0096] 1つの実施形態では、効果を測定したり、物質が増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートするかを調べるための方法は、(1)物質で処理したサンプル中の表5a及び5bにリストされているバイオマーカーの発現のレベルをビヒクル処理サンプル中で観察される発現のレベルに相当する標準または対照中の同一バイオマーカーの発現のレベルと比較し;(2)処理したサンプル中のバイオマーカー関連ポリヌクレオチドのレベルがビヒクル処理した対照のレベルに比して有意な差があるかを確認することを含み、実質的な差がなければこの物質は増殖因子シグナル伝達経路のモジュレートしないと予測され、実質的な差があるならばこの物質は増殖因子シグナル伝達経路のモジュレートすると予測される。より具体的実施形態では、本発明は、物質の増殖因子シグナル伝達経路に対する効果を確認または調べるために使用され得る101個の集合から選抜した少なくとも5、10、20、30、40、50、75または100個のバイオマーカーの部分集合を提供する。或いは、表11からの86個のバイオマーカーの全体集合を使用しても、86個のバイオマーカーの少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70または75個の部分集合を使用してもよい。] [0097] 別の実施形態では、物質の増殖因子シグナル伝達経路に対する効果を判定する上記方法は101個のバイオマーカーの2つの“腕”を使用する。“アップ”腕はその発現が増殖因子経路活性化に伴ってアップする遺伝子(表5aを参照されたい)を含み、“ダウン”腕はその発現が増殖因子経路活性化に伴ってダウンする遺伝子(表5bを参照されたい)を含む。或いは、“アップ”腕はその発現が増殖因子経路活性化に伴ってアップする表11からの遺伝子を含み、“ダウン”腕はその発現が増殖因子経路活性化に伴ってダウンする表11からの遺伝子を含む。個体サンプルを標準または対照と比較する場合、サンプル中の遺伝子Xの発現値を標準または対照中の遺伝子Xの発現値と比較する。バイオマーカーの集合中の各遺伝子毎に、標準または対照と比較した個体サンプル中の発現値のlog(10)比を求める。サイン“スコア”は“アップ”腕中の遺伝子の平均log(10)比を求め、“ダウン”腕中の遺伝子の平均log(10)比を減ずることにより計算する。サインスコアが所定閾値を超えているならば、サンプルは増殖因子シグナル伝達経路のデレギュレーションを有している(すなわち、物質は増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする)と見なされる。所定閾値は0であり得、或いは標準または対照として使用されるサンプルの集合またはプールしたサンプルのサインスコアの平均、メジアンまたはパーセント点であり得る。サインスコアが有意であるかを判定するために、2つの対立する腕中の遺伝子の発現値を相互に比較するANOVA計算(例えば、両側t検定、ウィルコクソン順位和検定、コルモゴルフ−スミルノフ検定等)を実施する。例えば、“アップ”腕中の遺伝子の平均log(10)比が“ダウン”腕中の遺伝子の平均log(10)比に比して有意な差があるかを判定するために両側t検定を使用するならば、<0.05のp値は個体サンプル中のサインが標準または対照とは有意に異なることを示す。或いは、“アップ”腕(表5aを参照されたい)から選抜した少なくとも3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55または60個のバイオマーカーの部分集合及び“ダウン”腕(表5bを参照されたい)から選抜した少なくとも3、5、10、15、20、25、30または35個のバイオマーカーの部分集合をこのサインスコアを計算するために使用してもよい。更に別の実施形態では、“アップ”腕から選抜した少なくとも3、5、10、15、20、25、30、35または40個のバイオマーカーの部分集合(表11を参照されたい)及び“ダウン”腕から選抜した少なくとも3、5、10、15、20、25、30、35または40個のバイオマーカーの部分集合(表11を参照されたい)をこのサインスコアを計算するために使用してもよい。値がバイオマーカーの遺伝子の転写物アバンダンスの客観的測定値を表す限り、log(10)比以外の他の差次的発現値がサインスコアを計算するために使用され得ることを当業者は認識している。その例にはxdev、誤差加重log(比)及び平均減法log(強度)が含まれるが、これらに限定されない。] [0098] バイオマーカー集合を使用する上記方法は、表13にリストされているバイオマーカーの集合を用いて物質が解糖経路をモジュレートするかを確認するために個体からのサンプルを分析するためにも使用され得る。表13中の39個のバイオマーカーの全体集合または少なくとも5、10、15、20、25、30または35個の部分集合が使用され得る。] [0099] 用語「解糖経路(glycolysis pathway)」または「解糖経路(glycolytic pathway)」は、1つのグルコース分子を2つのピルベート分子に分解して2つのATPを生成する酸素非依存性細胞エネルギー生成経路を指す。その後、ピルベートは解糖経路においてラクテートに還元される。酸素の存在下でピルベートはHCO3に酸化されると、グルコース1個あたり36個の追加ATPが生ずる(酸化的リン酸化経路)。酸素の存在下でのグルコースの乳酸への変換は「好気的解糖」または「ワーブルグ効果」とも称されている。酸素の存在下での高い解糖は原発性及び転移性癌の特徴である(Gatenby and Gillies,2004,Nature Reviews Cancer,4:891−899;Lopez−Lazaro,2008,Anti−Cancer Agents in Med.Chem.,8:305−312;Kondoh,2008,Exp.Cell Res.,314:1923−1928において精査されている)。] [0100] 解糖経路に影響を及ぼす物質には小分子化合物;タンパク質またはペプチド(抗体を含む);siRNA、shRNAまたはミクロRNA分子;或いは解糖経路または解糖経路と相互作用する他の経路内で機能する1つ以上の遺伝子またはタンパク質をモジュレートする他の物質が含まれる。] [0101] 「解糖経路物質」は解糖経路をモジュレートする物質を指す。解糖インヒビターは解糖経路を抑制する。前記インヒビターの分子標的にはヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ピルベートキナーゼ、グルコーストランスポーターが含まれるが、これらに限定されない。前記物質は当業界で公知であり、この中にはロニダミン、3−ブロモピルベート、2−デオキシグルコース、イマチニブ、ATPクエン酸リアーゼ阻害剤SB−204990、オキシチアミン、ゲニステイン、5−チオグルコース、マンノヘプツロース、α−クロロヒドリン、オルニダゾール、グルフォスファミド、ヒ素化合物、オキサマート、ヨードアセテート、ビスホスホネート、ツベルシジン、並びにNa+/K+−ATPアーゼポンプインヒビター、GLUTインヒビター、3−(3−ピリジニル)−1−(4−ピリジニル)−2−プロペン−1−オン、ジクロロアセテート(Lopez−Lazaro,2008,Anti−Cancer Agents in Medicinal Chemistry,8:305−312;Clemら,2008,Mol.Cancer Ther.,7:110−120;Bonnetら,2007,Cancer Cell,11:37−51において精査されている)が含まれるが、これらに限定されない。] [0102] バイオマーカー集合を使用する上記方法は物質のバイオマーカー集合または部分集合に対する効果に従って前記物質を順位付けるためにも使用され得る。例えば、物質はバイオマーカー集合または部分集合中の差次的発現値(例えば、バイオマーカーの集合または部分集合の平均発現値、またはサインスコア)において誘導される変化に従って順位付けられ得る。候補物質は問題の特定経路を修飾することが公知の物質と比較することによっても順位付けられ得る。] [0103] 3.4.4物質の薬力学的効果の測定方法 本発明は、増殖因子シグナル伝達経路に対する物質の薬力学的効果を判定するために有用なバイオマーカーの集合を提供する。提供されるバイオマーカーは患者またはサンプルにおいて物質で治療してからのいろいろな時点での増殖因子シグナル伝達経路のモジュレーションをモニターするために使用され得る。よって、本発明は、更に増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質の有効性の早期評価として上記バイオマーカーを使用する方法を提供する。1つの実施形態では、本発明は、(1)物質で処理したサンプル中の表5a及び5bにリストされているバイオマーカーの発現のレベルをビヒクル処理サンプルにおいて観察される発現のレベルに相当する標準または対照中の同一バイオマーカーの発現のレベルと比較し;(2)処理サンプル中のバイオマーカー関連ポリヌクレオチドのレベルがビヒクル処理対照中のレベルに比して有意な差があるかを調べることを含む患者またはサンプル中の増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質の薬力学的効果を判定するための方法を提供し、実質的な差が見られないならば当該物質は増殖因子シグナル伝達経路に対して薬力学的効果を有していないと予測され、実質的な差が見られたなら当該物質は増殖因子シグナル伝達経路に対して薬力学的効果を有していると予想される。より具体的実施形態では、本発明は、増殖因子シグナル伝達経路に対する物質の薬力学的活性をモニターするために使用され得る101個の集合から選抜した少なくとも5、10、20、30、40、50、75または100個のバイオマーカーの部分集合を提供する。更に別の実施形態では、増殖因子シグナル伝達経路に対する物質の薬力学的活性をモニターするために表11にリストされている86個のバイオマーカーの集合を使用しても、また86個の集合から選抜した少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70または80個のバイオマーカーの部分集合を使用してもよい。] [0104] 別の実施形態では、増殖因子シグナル伝達経路に対する物質の薬力学的活性を測定する上記方法は101個のバイオマーカーの2つの“腕”を使用する。“アップ”腕はその発現が増殖因子経路活性化に伴ってアップする遺伝子(表5aを参照されたい)を含み、“ダウン”腕はその発現が増殖因子経路活性化に伴ってダウンする遺伝子(表5bを参照されたい)を含む。或いは、薬力学的活性を測定する上記方法は表11にリストされている86個のバイオマーカーの2つの“腕”、すなわち44個の遺伝子(表11を参照されたい)を含む“アップ”腕及び42個の遺伝子を含む“ダウン”腕(表11を参照されたい)を使用する。個体サンプルを標準または対照と比較する場合、サンプル中の遺伝子Xの発現値を標準または対照中の遺伝子Xの発現値と比較する。バイオマーカーの集合中の各遺伝子毎に、標準または対照に対する個体サンプル中の発現値についてのlog(10)比を求める。サイン“スコア”は、“アップ”腕中の遺伝子の平均log(10)比を求め、“ダウン”腕中の遺伝子の平均log(10)比を減ずることにより計算する。サインスコアが所定閾値を超えているならば、サンプルは増殖因子シグナル伝達経路のデレギュレーションを有していると見なされる。所定閾値は0であり得、或いは標準または対照として使用したサンプルの集合またはプールしたサンプルのサインスコアの平均、メジアンまたはパーセント点であり得る。サインスコアが有意であるかを確認するために、2つの対立する腕中の遺伝子の発現値を相互に比較するANOVA計算(例えば、両側t検定、ウィルコクソン順位和検定、コルモゴルフ−スミルノフ検定等)を実施する。例えば、“アップ”腕中の遺伝子の平均log(10)比が“ダウン”腕中の遺伝子の平均log(10)比と有意に異なるかを調べるために両側t検定を使用するならば、<0.05のp値は個体サンプル中のサインが標準または対照と有意に異なることを示す。或いは、“アップ”腕(表5aを参照されたい)から選抜した少なくとも3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55または60個のバイオマーカーの部分集合及び“ダウン”腕(表5bを参照されたい)から選抜した少なくとも3、5、10、15、20、25、30または35個のバイオマーカーの部分集合をこのサインスコアを計算するために使用してもよい。更に別の実施形態では、“アップ”腕(表11を参照されたい)から選抜した少なくとも3、5、10、15、20、25、30、35または40個のバイオマーカーの部分集合及び“ダウン”腕(表11を参照されたい)から選抜した少なくとも3、5、10、15、20、25、30、35または40個のバイオマーカーの部分集合をこのサインスコアを計算するために使用してもよい。値がバイオマーカーの遺伝子の転写物アバンダンスの客観的測定値を表す限り、log(10)比以外の他の差次的発現値をサインスコアを計算するために使用し得ることを当業者は認識している。その例にはxdev、誤差加重log(比)及び平均減法log(強度)が含まれるが、これらに限定されない。] [0105] バイオマーカー集合を使用する上記方法は、表13にリストされているバイオマーカーの集合を用いて解糖経路に対する物質の薬力学的効果を判定すべく個体からのサンプルを分析するために使用され得る。表13中の39個のバイオマーカーの全体集合または部分集合が使用され得る。] [0106] バイオマーカーの使用は癌関連状態についての増殖因子シグナル伝達経路に対する物質の薬力学的効果を判定することに限定されず、遺伝子発現が役割を発揮する各種の表現型、或いは臨床的または実験的状態においても適用され得る。2つ以上の表現型に対応するバイオマーカーの集合が同定されたら、これらの表現型を区別するためにバイオマーカー集合が使用され得る。例えば、癌及び他の病的状態、或いは他の生理的状態に関連する臨床状態、または表現型の診断及び/または予後、増殖因子シグナル伝達経路以外の経路をモジュレートする物質に対する応答の予測であり得、発現レベルデータは特定の生理的状態または病的状態に相関している遺伝子の集合から誘導される。] [0107] 3.4.5発現レベル差に対する感度の向上 本明細書中に開示されているバイオマーカーを使用すると、実際1つの表現型を有する個体または被験者を第2の表現型を有する別の個体または被験者と区別するためにバイオマーカーの集合を使用すると、サンプル中の各バイオマーカーの絶対発現を対照と比較することができる。例えば、対照はそれぞれ個体または被験者のプール中の各バイオマーカーの発現の平均レベルであり得る。しかしながら、比較の感度を向上させるために、発現レベル値を多数の方法で変換することが好ましい。] [0108] 例えば、バイオマーカーの各々の発現レベルはその発現レベルを測定するすべてのマーカーの平均発現レベルにより、または対照遺伝子の集合の平均発現レベルにより正規化され得る。よって、1つの実施形態では、バイオマーカーをマイクロアレイ上のプローブにより表され、バイオマーカーの各々の発現レベルは非バイオマーカー遺伝子を含めてマイクロアレイ上に表される遺伝子のすべてで平均またはメジアン発現レベルにより正規化される。具体的実施形態では、正規化はマイクロアレイ上のすべての遺伝子の発現のメジアンまたは平均レベルを分割することにより実施される。別の実施形態では、バイオマーカーの発現レベルは対照バイオマーカーの集合の発現の平均またはメジアンレベルにより正規化される。具体的実施形態では、対照バイオマーカーはハウスキーピング遺伝子の集合を含む。別の具体的実施形態では、正規化は対照遺伝子のメジアンまたは平均発現レベルにより分割することにより実施される。] [0109] バイオマーカーをベースとするアッセイの感度は、個々のバイオマーカーの発現レベルをサンプルのプール中の同一バイオマーカーの発現と比較するならば向上させ得る。好ましくは、比較はサンプルのプール中の各バイオマーカー遺伝子の各々の平均またはメジアン発現レベルに対してなされる。前記比較は、例えばサンプル中の各バイオマーカーの発現レベルからバイオマーカーの各々についてのプールの平均またはメジアン発現レベルで割ることによりなされ得る。これは、サンプル中のバイオマーカーとプール中のマーカー間の発現の相対差を全体的に強調して、絶対発現レベルのみを使用するよりも比較をより高感度とし、有意義な結果を与える可能性が増える効果を有している。発現レベルデータは便利な方法で変換され得る。好ましくは、すべてについての発現レベルデータを平均またはメジアンをとる前にlog変換する。] [0110] プールに対する比較を実施する場合2つのアプローチを使用し得る。第1は、サンプル中のマーカーの発現レベルをプール中の前記マーカーの発現レベルと比較し得、1つの実験中にサンプル由来の核酸及びプール由来の核酸をハイブリダイズする。このアプローチは、各比較または限定数の比較のために新しいプール核酸を生成する必要があり、従って利用可能な核酸の量により制限される。或いは、正規化及び/または変換されているか否かにかかわらず、プール中の発現レベルをサンプルからの個々の発現レベルデータ(すなわち、単チャネルデータ)と比較する際に使用しようとするコンピューターまたはコンピューター読み取り可能媒体に記憶させる。これが好ましい。] [0111] よって、本発明は、第1の細胞または生物を少なくとも2つの第1表現型及び第2表現型からなる異なる表現型の1つを有するとして分類する以下の方法を提供する。第1細胞または生物由来の第1サンプル中の複数の遺伝子の各々の発現レベルをそれぞれ複数の細胞または生物由来のプールしたサンプル中の前記遺伝子の各々の発現レベルと比較して第1の比較値を得る。前記した複数の細胞または生物は少なくとも2つの異なる表現型を示すいろいろな細胞または生物からなる。次いで第1の比較値を、第1表現型を有すると特徴づけられた細胞または生物由来のサンプル中の遺伝子の各々の発現レベルをそれぞれプールしたサンプル中の前記遺伝子の各々の発現レベルと比較することを含む方法の結果である第2の比較値と比較する。次いで、第1比較値を、第2表現型を有すると特徴づけられた細胞または生物由来のサンプル中の遺伝子の各々の発現レベルをそれぞれプールしたサンプル中の前記遺伝子の各々の発現レベルと比較することを含む方法の結果である第3比較値と比較する。場合により、第1比較値をそれぞれ、第1及び第2表現型と異なるが、少なくとも2つの異なる表現型の中に含まれる表現型を有すると特徴づけられた細胞または生物由来のサンプル中の遺伝子の各々の発現レベルをそれぞれプールしたサンプル中の前記遺伝子の各々の発現レベルと比較することを含む方法の結果である追加の比較値と比較してもよい。最後に、第2、第3及び存在するならば1つ以上の追加の比較値のいずれかが第1比較値に最も類似しているかを判定し、第1細胞または生物が第1比較値に最も類似している比較値を得るために使用される細胞または生物の表現型を有していると確認される。] [0112] この方法の具体的実施形態では、比較値は前記遺伝子の各々の発現レベルの各比である。別の具体的実施形態では、比較ステップの前にプールしたサンプル中の各遺伝子の発現レベルの各々を正規化する。より具体的実施形態では、発現レベルの正規化は、遺伝子の各々の発現の平均またはメジアンレベルで割ることにより、または細胞または生物由来のプールしたサンプル中の1つ以上のハウスキーピング遺伝子の発現の平均またはメジアンレベルで割ることにより実施される。別の具体的実施形態では、発現の正規化レベルをlog変換にかけ、比較ステップはサンプル中の各遺伝子の発現レベルのlogからlog変換を減ずることを含む。別の具体的実施形態では、2つ以上の異なる表現型は増殖因子シグナル伝達経路の異なるレギュレーション状態である。更に別の具体的実施形態では、2つ以上の異なる表現型は増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質での治療に対する異なる予想される応答である。更に別の具体的実施形態では、それぞれプールしたサンプル中の各遺伝子の発現レベル、または第1表現型、第2表現型、或いは第1及び第2表現型とは異なる表現型を有するとして特徴づけられた細胞または生物由来のサンプル中の各遺伝子の発現レベルをコンピューターまたはコンピーター−読み取り可能媒体に記憶させる。] [0113] 別の具体的実施形態では、2つの表現型はデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路状態である。別の具体的実施形態では、2つの表現型は予想される増殖因子シグナル伝達経路物質応答者状態である。更に別の具体的実施形態では、2つの表現型は増殖因子シグナル伝達経路に対する物質の薬力学的効果の有無である。] [0114] 別の具体的実施形態では、2つの表現型は活性化または非活性化解糖経路状態である。別の具体的実施形態では、2つの表現型は予測される解糖経路物質応答者状態である。更に別の具体的実施形態では、2つの表現型は解糖経路に対する物質の薬力学的効果の有無である。]
权利要求:
請求項1 (i)腫瘍細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の発現レベルからなる第1発現プロファイルと異常活性を有する増殖因子シグナル伝達経路の成分を少なくとも1つ以上有していない複数の対照細胞サンプル中のそれぞれの遺伝子の平均発現レベルである第1の複数の遺伝子の発現レベルからなるレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレート間の類似度を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表5a及び5bにリストされている少なくとも5個の遺伝子から構成されており;(ii)第1発現プロファイルがレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して高い類似性を有しているならば腫瘍細胞サンプルをレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し、また第1発現プロファイルがレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して低い類似性を有しているならば腫瘍細胞サンプルをデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し、レギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を超えているならば第1発現プロファイルはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して高い類似性を有しており、またレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を下回るならば第1発現プロファイルはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して低い類似性を有しており:(iii)分類ステップ(ii)で得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことからなる単離した細胞サンプルをデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類するための方法。 請求項2 (i)a)対照細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第2発現レベルに対する細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第1発現レベルの差次的発現値を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表5aにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、第2の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表5bにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、b)第1の複数の遺伝子及び第2の複数の遺伝子の発現レベルの平均差次的発現値を計算し、c)第1の複数の遺伝子の平均差次的発現値から第2の複数の遺伝子の平均差次的発現値を減じてサインスコアを得ることからなる方法によりサインスコアを計算し;(ii)a)得られたサインスコアが所定閾値を超えているならば、b)サインスコアが統計上有意であるならば、細胞サンプルはデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し;(iii)分類ステップ(ii)で得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことを含む単離した細胞サンプルをデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類するための方法。 請求項3 第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表9aにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、第2の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表9bにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されている請求項2に記載の方法。 請求項4 差次的発現値はlog(10)比である請求項2に記載の方法。 請求項5 差次的発現値は1og10(2Λ−Ct)である請求項2に記載の方法。 請求項6 閾値は0である請求項2に記載の方法。 請求項7 0.05未満のp値を有しているならばサインスコアは統計上有意である請求項2に記載の方法。 請求項8 単離した細胞サンプルはヒト被験者由来である請求項1または2に記載の方法。 請求項9 第1の複数はそのバイオマーカーが表5a及び5bにリストされている少なくとも10個の遺伝子から構成されている請求項1に記載の方法。 請求項10 第1の複数はそのバイオマーカーが表5a及び5bにリストされている少なくとも20個の遺伝子から構成されている請求項1に記載の方法。 請求項11 第1の複数はそのバイオマーカーが表5a及び5bにリストされている少なくとも50個の遺伝子から構成されている請求項1に記載の方法。 請求項12 第1の複数はそのバイオマーカーが表5aにリストされている少なくとも5個の遺伝子から構成されており、第2の複数はそのバイオマーカーが表5bにリストされている少なくとも5個の遺伝子から構成されている請求項2に記載の方法。 請求項13 (a)(i)被験者由来の単離した細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の発現レベルからなる第1発現プロファイルと異常活性を有する増殖因子シグナル伝達経路の成分を少なくとも1つ以上有していない複数の対照細胞サンプル中のそれぞれの遺伝子の平均発現レベルである第1の複数の遺伝子の発現レベルからなるレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレート間の類似度を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表5a及び5bにリストされている少なくとも5個の遺伝子から構成されており;(ii)第1発現プロファイルがレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して高い類似性を有しているならば細胞サンプルをレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し、また第1発現プロファイルがレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して低い類似性を有しているならば細胞サンプルをデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し、レギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を超えているならば第1発現プロファイルはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して高い類似性を有しており、レギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を下回るならば第1発現プロファイルはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して低い類似性を有しており;(iii)分類ステップ(ii)により得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことにより被験者をデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類することを含み、デレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類された被験者は増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質に対して応答すると予測される被験者を示す前記物質に対する被験者の応答の予測方法。 請求項14 (i)a)対照細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第2発現レベルに対する被験者由来の単離した細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第1発現レベルの差次的発現値を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表5aにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、第2の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表5bにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、b)第1の複数の遺伝子及び第2の複数の遺伝子の発現レベルの平均差次的発現値を計算し、c)第1の複数の遺伝子の平均差次的発現値から第2の複数の遺伝子の平均差次的発現値を減じてサインスコアを得:(ii)a)得られたサインスコアが所定閾値を超えているならば、b)サインスコアが統計上有意ならば、被験者をデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し;(iii)分類ステップ(ii)で得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことにより被験者をデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し、デレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類された被験者は増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質に応答すると予測される被験者を示す被験者の前記物質に対する応答の予測方法。 請求項15 第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表9aにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、第2の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表9bにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されている請求項12に記載の方法。 請求項16 差次的発現値はlog(10)比である請求項12に記載の方法。 請求項17 差次的発現値はlog10(2Λ−Ct)である請求項12に記載の方法。 請求項18 閾値は0である請求項12に記載の方法。 請求項19 0.05未満のp値を有しているならばサインスコアは統計上有意である請求項12に記載の方法。 請求項20 (i)a)対照細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第2発現レベルに対する被験者由来の単離した細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第1発現レベルの差次的発現値を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表5aにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、第2の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表5bにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、b)第1の複数の遺伝子及び第2の複数の遺伝子の発現レベルの平均差次的発現値を計算し、c)第1の複数の遺伝子の平均差次的発現値から第2の複数の遺伝子の平均差次的発現値を減じてサインスコアを得ることを含む方法によりサインスコアを計算し;(ii)a)得られたサインスコアが所定閾値を超えているならば、b)サインスコアが統計上有意であるならば、被験者をデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し;(iii)分類ステップ(ii)により得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことにより被験者をデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し;(b)被験者がデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類されるならば、該被験者に増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質を割り当て、前記癌患者に有糸分裂抑制剤タイプの物質を割り当てない;ことを含む被験者への治療の割り当て方法。 請求項21 第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表9aにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、第2の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表9bにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されている請求項20に記載の方法。 請求項22 差次的発現値はlog(10)比である請求項20に記載の方法。 請求項23 差次的発現値はlog10(2Λ−Ct)である請求項20に記載の方法。 請求項24 閾値は0である請求項20に記載の方法。 請求項25 0.05未満のp値ならばサインスコアは統計上有意である請求項20に記載の方法。 請求項26 (a)被験者を増殖因子シグナル伝達経路の1つ以上の成分をモジュレートする物質と接触させ;(b)被験者をデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類する;ことを含む被験者中の増殖因子シグナル伝達経路に対する物質の薬力学的活性の測定方法であって、前記分類は(i)a)対照細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第2発現レベルに対する被験者由来の単離した細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第1発現レベルの差次的発現値を計算し、前記第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表5aにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、第2の複数の遺伝子はそのびバイオマーカーが表5bにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、b)第1の複数の遺伝子及び第2の複数の遺伝子の発現レベルの平均差次的発現値を計算し、c)第1の複数の遺伝子の平均差次的発現値から第2の複数の遺伝子の平均差次的発現値を減じてサインスコアを得ることを含む方法によりサインスコアを計算し;(ii)a)得られたサインスコアが所定閾値を下回るならば、b)サインスコアが統計上有意であるならば、被験者はレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し;(iii)分類ステップ(ii)により得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことを含み、前記物質での治療を受け且つレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類された被験者は増殖因子シグナル伝達経路に対して薬力学的活性を有する物質を示す前記方法。 請求項27 第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表9aにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、第2の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表9bにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されている請求項26に記載の方法。 請求項28 差次的発現値はlog(10)比である請求項26に記載の方法。 請求項29 差次的発現値はlog10(2Λ−Ct)である請求項26に記載の方法。 請求項30 閾値は0である請求項26に記載の方法。 請求項31 0.05未満のp値を有しているならばサインスコアは統計上有意である請求項26に記載の方法。 請求項32 (a)被験者を物質と接触させ、(b)被験者をデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類することを含む前記物質が被験者中の増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートするかを調べる方法であって、前記分類は(i)a)物質と接触していない対照細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第2発現レベルに対する被験者由来の単離した細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第1発現レベルの差次的発現値を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表5aにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、第2の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表5bにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、b)第1の複数の遺伝子及び第2の複数の遺伝子の発現レベルの平均差次的発現値を計算し、c)第1の複数の遺伝子の平均差次的発現値から第2の複数の遺伝子の平均差次的発現値を減ずることによりサインスコアを得ることを含む方法によりサインスコアを計算し;(ii)a)得られたサインスコアが所定閾値を下回るならば、b)サインスコアが統計上有意ならば、被験者をレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し;(iii)分類ステップ(ii)で得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことを含み、物質での治療を受け且つレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類された被験者は増殖因子シグナル伝達経路に対する効果を有する物質を示す前記方法。 請求項33 第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表9aにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、第2の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表9bにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されている請求項32に記載の方法。 請求項34 差次的発現値はlog(10)比である請求項32に記載の方法。 請求項35 差次的発現値はlog10(2Λ−Ct)である請求項32に記載の方法。 請求項36 閾値は0である請求項32に記載の方法。 請求項37 0.05未満のp値を有しているならばサインスコアは統計上有意である請求項32に記載の方法。 請求項38 (i)腫瘍細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の発現レベルからなる第1発現プロファイルと異常活性を有する増殖因子シグナル伝達経路の成分を少なくとも1つ以上有していない複数の対照細胞サンプル中のそれぞれの遺伝子の平均発現レベルである第1の複数の遺伝子の発現レベルからなるレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレート間の類似度を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表11a及び11bにリストされている少なくとも5個の遺伝子から構成されており;(ii)第1発現プロファイルがレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して高い類似性を有しているならば腫瘍細胞サンプルをレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し、また第1発現プロファイルがレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して低い類似性を有しているならば腫瘍細胞サンプルをデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し、レギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を超えているならば第1発現プロファイルはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して高い類似性を有しており、またレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を下回るならば第1発現プロファイルはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して低い類似性を有しており;(iii)分類ステップ(ii)で得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことを含む単離した細胞サンプルをデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類するための方法。 請求項39 (i)a)対照細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第2発現レベルに対する細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第1発現レベルの差次的発現値を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表11aにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、第2の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表11bにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、b)第1の複数の遺伝子及び第2の複数の遺伝子の発現レベルの平均差次的発現値を計算し、c)第1の複数の遺伝子の平均差次的発現値から第2の複数の遺伝子の平均差次的発現値を減じてサインスコアを得ることを含む方法によりサインスコアを計算し;(ii)a)得られたサインスコアが所定閾値を超えているならば、b)サインスコアが統計上有意であるならば、細胞サンプルをデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し;(iii)分類ステップ(ii)で得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことを含む単離した細胞サンプルをデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類するための方法。 請求項40 差次的発現値はlog(10)比である請求項39に記載の方法。 請求項41 差次的発現値は1og10(2Λ−Ct)である請求項39に記載の方法。 請求項42 閾値は0である請求項39に記載の方法。 請求項43 0.05未満のp値を有しているならばサインスコアは統計上有意である請求項39に記載の方法。 請求項44 単離した細胞サンプルはヒト被験者由来である請求項38または39に記載の方法。 請求項45 第1の複数はそのバイオマーカーが表11a及び11bにリストされている少なくとも10個の遺伝子から構成されている請求項38に記載の方法。 請求項46 第1の複数はそのバイオマーカーが表11a及び11bにリストされている少なくとも20個の遺伝子から構成されている請求項1に記載の方法。 請求項47 第1の複数はそのバイオマーカーが表11a及び11bにリストされている少なくとも50個の遺伝子から構成されている請求項38に記載の方法。 請求項48 第1の複数はそのバイオマーカーが表11aにリストされている少なくとも5個の遺伝子から構成されており、第2の複数はそのバイオマーカーが表11bにリストされている少なくとも5個の遺伝子から構成されている請求項39に記載の方法。 請求項49 (a)(i)被験者由来の単離した細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の発現レベルからなる第1発現プロファイルと異常活性を有する増殖因子シグナル伝達経路の成分を少なくとも1つ以上有していない複数の対照細胞サンプル中のそれぞれの遺伝子の平均発現レベルである第1の複数の遺伝子の発現レベルからなるレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレート間の類似度を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表11a及び11bにリストされている少なくとも5個の遺伝子から構成されており;(ii)第1発現プロファイルがレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して高い類似性を有しているならば細胞サンプルをレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し、また第1発現プロファイルがレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して低い類似性を有しているならば細胞サンプルをデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し、レギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を超えているならば第1発現プロファイルはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して高い類似性を有し、またレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を下回るならば第1発現プロファイルはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路テンプレートに対して低い類似性を有しており;(iii)分類ステップ(ii)により得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことにより被験者をデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し、デレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類された被験者は増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質に対して応答すると予測される被験者を示す被験者の前記物質に対する応答を予測するための方法。 請求項50 (a)(i)a)対照細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第2発現レベルに対する被験者由来の単離した細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第1発現レベルの差次的発現値を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表11aにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、第2の複数はそのバイオマーカーが表11bにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、b)第1の複数の遺伝子及び第2の複数の遺伝子の発現レベルの平均差次的発現値を計算し、c)第1の複数の遺伝子の平均差次的発現値から第2の複数の遺伝子の平均差次的発現値を減じてサインスコアを得ることを含む方法によりサインスコアを計算し;(ii)a)得られたサインスコアが所定閾値を超えているならば、b)サインスコアが統計上有意であるならば、被験者をデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し;(iii)分類ステップ(ii)で得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことにより被験者をデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類することを含み、デレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類された被験者は増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質に対して応答すると予測される被験者を示す被験者の前記物質に対する応答を予測するための方法。 請求項51 差次的発現値はlog(10)比である請求項50に記載の方法。 請求項52 差次的発現値はlog10(2Λ−Ct)である請求項50に記載の方法。 請求項53 閾値は0である請求項50に記載の方法。 請求項54 0.05未満のp値を有しているならばサインスコアは統計上有意である請求項50に記載の方法。 請求項55 (a)(i)a)対照細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第2発現レベルに対する被験者由来の単離した細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第1発現レベルの差次的発現値を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表11aにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、第2の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表11bにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、b)第1の複数の遺伝子及び第2の複数の遺伝子の発現レベルの平均差次的発現値を計算し、c)第1の複数の遺伝子の平均差次的発現値から第2の複数の遺伝子の平均差次的発現値を減じてサインスコアを得る方法によりサインスコアを計算し;(ii)a)得られたサインスコアが所定閾値を超えているならば、b)サインスコアが統計上有意であるならば、被験者をデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し;(iii)分類ステップ(ii)で得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことにより被験者をデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し;(b)被験者がデレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類されたならば、被験者に増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質を割り当て、前記癌患者に有糸分裂抑制剤タイプの物質を割り当てない;ことを含む被験者に対する治療の割り当て方法。 請求項56 差次的発現値はlog(10)比である請求項55に記載の方法。 請求項57 差次的発現値はlog10(2Λ−Ct)である請求項55に記載の方法。 請求項58 閾値は0である請求項55に記載の方法。 請求項59 0.05未満のp値を有しているならばサインスコアは統計上有意である請求項55に記載の方法。 請求項60 (a)被験者を増殖因子シグナル伝達経路の1つ以上の成分をモジュレートする物質と接触させ、(b)被験者をデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類することを含む被験者における前記物質の増殖因子シグナル伝達経路に対する薬力学的活性の測定方法であって、前記分類は(i)a)対照細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第2発現レベルに対する被験者由来の単離した細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第1発現レベルの差次的発現値を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表11aにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、第2の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表11bにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、b)第1の複数の遺伝子及び第2の複数の遺伝子の発現レベルの平均差次的発現値を計算し、c)第1の複数の遺伝子の平均差次的発現値から第2の複数の遺伝子の平均差次的発現値を減じてサインスコアを得ることを含む方法によりサインスコアを計算し;(ii)a)得られたサインスコアが所定閾値を下回るならば、b)サインスコアが統計上有意であるならば、被験者をレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し;(iii)分類ステップ(ii)で得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことを含み、前記物質の治療を受け且つレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類された被験者は増殖因子シグナル伝達経路に対する薬力学的活性を有する物質を示す前記方法。 請求項61 差次的発現値はlog(10)比である請求項60に記載の方法。 請求項62 差次的発現値はlog10(2Λ−Ct)である請求項60に記載の方法。 請求項63 閾値は0である請求項60に記載の方法。 請求項64 0.05未満のp値を有しているならばサインスコアは統計上有意である請求項60に記載の方法。 請求項65 (a)被験者を増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートする物質と接触させ、(b)被験者をデレギュレートまたはレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類することを含む前記物質が被験者中の増殖因子シグナル伝達経路をモジュレートするかを調べる方法であって、前記分類は(i)a)前記物質と接触していない対照細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第2発現レベルに対する被験者由来の単離した細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の各々及び第2の複数の遺伝子の各々の第1発現レベルの差次的発現値を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表11aにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、第2の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表11bにリストされている少なくとも3個以上の遺伝子から構成されており、b)第1の複数の遺伝子及び第2の複数の遺伝子の発現レベルの平均差次的発現値を計算し、c)第1の複数の遺伝子の平均差次的発現値から第2の複数の遺伝子の平均差次的発現値を減じてサインスコアを得ることを含む方法によりサインスコアを計算し;(ii)a)得られたサインスコアが所定閾値を下回るならば、b)サインスコアが統計上有意であるならば、被験者をレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類し;(iii)分類ステップ(ii)により得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことを含み、前記物質の治療を受け且つレギュレートされている増殖因子シグナル伝達経路を有しているとして分類された被験者は増殖因子シグナル伝達経路に対する効果を有する物質を示す前記方法。 請求項66 差次的発現値はlog(10)比である請求項65に記載の方法。 請求項67 差次的発現値はlog10(2Λ−Ct)である請求項65に記載の方法。 請求項68 閾値は0である請求項65に記載の方法。 請求項69 0.05未満のp値を有しているならばサインスコアは統計上有意である請求項65に記載の方法。 請求項70 (i)腫瘍細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の発現レベルからなる第1発現プロファイルと酸素の存在下で有意な解糖活性を有していない複数の対照細胞サンプル中のそれぞれの遺伝子の平均発現レベルである第1の複数の遺伝子の発現レベルからなる非活性化解糖経路テンプレート間の類似度を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表13にリストされている少なくとも5個の遺伝子から構成されており;(ii)第1発現プロファイルが非活性化解糖経路テンプレートに対して高い類似性を有しているならば腫瘍細胞サンプルを非活性化解糖経路を有しているとして分類し、また第1発現プロファイルが非活性化解糖経路テンプレートに対して低い類似性を有しているならば腫瘍細胞サンプルを活性化解糖経路を有しているとして分類し、非活性化解糖経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を超えているならば第1発現プロファイルは非活性化解糖経路テンプレートに対して高い類似性を有し、非活性化解糖経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を下回るならば第1発現プロファイルは非活性化解糖経路テンプレートに対して低い類似性を有しており;(iii)分類ステップ(ii)により得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことを含む単離した細胞サンプルを活性化または非活性化解糖経路を有しているとして分類するための方法。 請求項71 単離した細胞サンプルはヒト被験者由来である請求項70に記載の方法。 請求項72 第1の複数はそのバイオマーカーが表13にリストされている少なくとも10個の遺伝子から構成されている請求項70に記載の方法。 請求項73 第1の複数はそのバイオマーカーが表13にリストされている少なくとも20個の遺伝子から構成されている請求項70に記載の方法。 請求項74 (a)(i)被験者由来の単離した細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の発現レベルからなる第1発現プロファイルと酸素の存在下で有意な解糖活性を有していない複数の対照細胞サンプル中のそれぞれの遺伝子の平均発現レベルである第1の複数の遺伝子の発現レベルからなる非活性化解糖経路テンプレート間の類似度を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表13にリストされている少なくとも5個の遺伝子から構成されており;(ii)第1発現プロファイルが非活性化解糖経路テンプレートに対して高い類似性を有しているならば細胞サンプルを非活性化解糖経路を有しているとして分類し、また第1発現プロファイルが非活性化解糖経路テンプレートに対して低い類似性を有しているならば細胞サンプルを活性化解糖経路を有しているとして分類し、非活性化解糖経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を超えているならば第1発現プロファイルは非活性化解糖経路テンプレートに対して高い類似性を有しており、非活性化解糖経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を下回るならば第1発現プロファイルは非活性化解糖経路テンプレートに対して低い類似性を有しており;(iii)分類ステップ(ii)により得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことを含むことにより被験者を活性化または非活性化解糖経路を有しているとして分類し、活性化解糖経路を有しているとして分類された被験者は解糖経路をモジュレートする物質に応答すると予測される被験者を示す被験者の前記物質に対する応答を予測するための方法。 請求項75 単離した細胞サンプルはヒト被験者由来である請求項74に記載の方法。 請求項76 第1の複数はそのバイオマーカーが表13にリストされている少なくとも10個の遺伝子から構成されている請求項74に記載の方法。 請求項77 第1の複数はそのバイオマーカーは表13にリストされている少なくとも20個の遺伝子から構成されている請求項74に記載の方法。 請求項78 (a)被験者を解糖経路をモジュレートする物質と接触させ、(b)被験者を非活性化または活性化解糖経路を有しているとして分類することを含む前記物質が被験者中の解糖経路をモジュレートするかを調べる方法であって、前記分類は(i)被験者由来の単離した細胞サンプル中の第1の複数の遺伝子の発現レベルからなる第1発現プロファイルと酸素の存在下で有意な解糖活性を有していない複数の対照細胞サンプル中のそれぞれの遺伝子の平均発現レベルである第1の複数の遺伝子の発現レベルからなる非活性化解糖経路テンプレート間の類似度を計算し、前記した第1の複数の遺伝子はそのバイオマーカーが表13にリストされている少なくとも5個の遺伝子から構成されており;(ii)第1発現プロファイルが非活性化解糖経路テンプレートに対して高い類似性を有しているならば細胞サンプルを非活性化解糖経路を有しているとして分類し、また第1発現プロファイルが非活性化解糖経路テンプレートに対して低い類似性を有しているならば細胞サンプルを活性化解糖経路を有しているとして分類し、非活性化解糖経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を超えているならば第1発現プロファイルは非活性化解糖経路テンプレートに対して高い類似性を有し、非活性化解糖経路テンプレートに対する類似性が所定閾値を下回るならば第1発現プロファイルは非活性化解糖経路テンプレートに対して低い類似性を有しており;(iii)分類ステップ(ii)により得た分類をユーザーインターフェースデバイス、コンピューター読み取り可能記憶媒体、或いはローカルまたはリモートコンピューターシステムに表示または出力させる;ことを含み、前記物質の治療を受け且つ非活性化解糖経路を有するとして分類された被験者は解糖経路に対する効果を有する物質を示す前記方法。 請求項79 単離した細胞サンプルはヒト被験者由来である請求項78に記載の方法。 請求項80 第1の複数はそのバイオマーカーが表13にリストされている少なくとも10個の遺伝子から構成されている請求項78に記載の方法。 請求項81 第1の複数はそのバイオマーカーが表13にリストされている少なくとも20個の遺伝子から構成されている請求項78に記載の方法。
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公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
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